頂き物・捧げ物

□東京、某日、マジバにて
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一通り爆笑し終わると、高尾は「あ、」と手を打ってから鞄を漁り始めた。
黒子は何が出てくるのかとシェイクを口にしたが、驚いたことにシェイクは溶け始めている。

もうそんなに時間が経っていたのかと驚くのと同時に、高尾と共に時間を過ごすと早く感じることに気が付いた。



「写メったわ、オレ。緑間がそれ持ってる光景を」
「…それ最初に思い出して欲しかったです」
「そしたらピッコロ聞けなか…やべ、思い出し笑い…!」



お腹を抱えながら机に突っ伏してできるだけ笑いを堪えようとヒーヒー言う高尾。
笑い続ける高尾を見飽きたのか、黒子は「高尾くん、写真を」と背中をとんとんと叩いた。

「あ、そうだった」と今度は制服のズボンを探し、携帯を取り出す。



「鞄じゃなかったんですね」
「これこれ!」
「スルーですか。…?…これって」
「なんだっけ、これ」
「…高尾くん、緑色のものもあるってだけでブブゼラは色々な色があるんですよ」
「それだ!ブブゼラ!ブブゼラだ!」



どうやら名前がわかったことに満足したのか、黒子の話は全く聞いていない。
携帯をしまいながらそのブブゼラの話をし始める高尾。

「緑しか見たこと無かったんだよねー、オレ」と話を続ける高尾に、話は聞いていたのかと考える黒子。



「この日さ、サッカー部のやつがブブゼラ持ってっからって取りに行かせてさ。あ、家までね」
「おは朝って翌日の分まで占ってくれるんじゃ…?」
「前日はオレと二人で探しに行ったんだよ。でも売ってねぇからさー、サッカー部の奴に明日持ってきてくれって頼んだわけよ」
「わざわざ…」
「だけどそいつ、家に忘れてきてさー。『持ってきて欲しいのだよ』!とか言い出して、『飯おごれよなー』とか言いながらソイツ取りに行って、もーマジ勘弁だわ」
「どうして高尾くんが勘弁なんですか?」
「…あいつが飯を奢ると思うか?」



そこだけ小さな声でボソボソと黒子に聞いた。
「…思いません」と一言返すと「だろ?」と苦笑いしながら一言帰ってきた。

食べかけのハンバーガーを口にし、そして何口か食べてからまた口を開く高尾。



「そいつが取りに行ってる時にさ、『大体、約束通り持ってこない奴に何故奢らねばならないのだよ』って眉間にシワ寄せて首かしげててよー。悪気は無いんだろうけどなー」
「…まぁ、緑間くんですし」
「だろ?だから高尾ちゃんが奢ってやったっていうお話でした」



「酷いやつだぜまったく」
そう言いながら二つ目のハンバーガーに移る。
中身の無くなったシェイクの容器をゴミ箱に捨て、もう一度席に戻る黒子。

「黒子はなんか無いの?誠凛の話」と話題を振られ、今度は黒子が話しをする番なのか、高尾が身を乗り出した。
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