頂き物・捧げ物

□何なんスか!!
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で、10日程たつ。
名前はクラスの女子に聞いて回ったら2つ隣のクラスの名字名前って言うらしい。
毎日イライラする。
理由はコイツに決まってる。

俺が告られる場所にほとんど出現してきて女の子が泣きながら帰った後に決まって後ろから出てくる。

今、告白してきた女の子が見えなくなった。
この時決まって出てくるんスよね。



「ホント何なんスか…」
「何が?」
「邪魔しに来たんスか?」
「まさか。邪魔なんかしたら嫌でしょ?」



…なんだ、なかなか良いとこあるじゃないっスか。
少しは俺のこと考えてくれてるんスね、なんて。

少しだけ見直して彼女を見るとニコニコとしていた。
それにつられて笑顔になる。



「良いとこあるんスね」
「だってかわいそうじゃん」
「ありが―――――」
「勇気だしてこんなやつに告白しにきて。ピュアな心に黄瀬くんは実はゲスなんです何て言ったら、乙女の純情な心は簡単にブロークンだよ」



前言撤回。
コイツ最低っスわ。
俺のことなんてミジンコ程も考えてない。

ひきつった笑顔の俺に眩しい程の笑顔を向ける。



「可愛い笑顔っスね」
「思っても無いことどうも」
「…シャンプー変えた?」
「よくわかったね!さすが犬!」
「…ホントなびかないっスね」
「そだね」



髪触ってもニコニコしてるだけだし、頭を撫でようと手を伸ばせば避けられる。
手を繋ごうと手を伸ばしても避けられる。

抱き付けば軽めとは言え鳩尾を5発と足を蹴られる。

こんなになびかない女子は初めてで日に日に名前を探してちょっかいを出すのが楽しみになってきつつある俺はどうかしていると思う。



「何?」
「…アンタホントに何なんスか」
「何って?あぁ、誰かって話?」
「名字名前っしょ?ちがくて…」
「?」



いつまでたってもなびかない彼女に違う興味も沸いてきて。
ベタな話をすれば少し引かれつつある。

あぁ、自分はバカだなぁとか思いながらいつも彼女に視線を送る。



「ホント、何なんスか」
「意味わかんないね」



またへらへら笑う彼女。
なんかもう、どうでも良くなってきた。
何て思ってしまって。
でもそれが間違いだったなんて俺は気が付けなかった。
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