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□バレンタイン
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私も負けじとじっと見つめ返す。
しびれを切らした涼太は口を尖らせてむっとして立ち上がった。

1歩こちらに近づく涼太から私も1歩下がる。
1歩、1歩と続けているうちに壁際へと追い詰められる。

そのままだんだんと顔が近付いてくる。
ヤバい、キスされる…!

しかし次にきた感触は唇にではなく肩だった。



「…こ」
「?」
「…チョコ、欲しいっス」
「!」
「…俺にはないんスか?」



腰に手を回して抱き付いてくる。
ちらりと肩にある頭に目をやれば少し耳が見えていて、その耳が真っ赤に染まっていた。

そうとう勇気を出して言ったらしく、そこから動かなくなってしまった。



「…涼太?」
「チョコ」
「…ねぇ、」
「チョコ」
「そんなに欲しかったの?」
「うん」



そういいながら小さくコクンと頷く涼太は幼稚園児みたいだと思った。

「うん」と頷いた涼太はそのままギュゥッと強く抱き付いてくる。



「…何で俺には無いんスか?」
「…あるよ?」
「…は?」
「や、鞄に入って…」
「え、えぇえぇぇえぇ!!」
「!?」



叫びながら抱き締めていた腕をとき、私の肩をガッと掴んで顔を私の前に表した。

見れば最初より涙目になっている。
ぷるぷるしながらこちらを見る涼太は真っ赤になっていた。
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