黒バス/長編/今吉 T

□第4話
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家に帰りたくない私はそのまま大輝の家へ。
あのバカはどうせ部活サボって公園でバスケして帰ってるハズ。

インターフォンをならせば大輝のお母さんが出てきて、大輝は部屋だと言われた。



「大輝ー」
「んだよ」
「入っていい?」
「………着替えてる」
「お邪魔します」
「おい!!」
「ほら、着替えてない」
「…チッ」



大輝はゴロンとベットに横になって背を向けた。
そこに私は座って頭をパチンと叩いてやる。



「何だよ」
「ごめん」
「ちげぇよ、どうしたって聞いてんだ」
「…また見た」
「………」
「夢」



はぁ…と盛大なため息をついて起き上がり私の後ろに座った。
背中合わせで座れば大輝の低い声に合わせて背中が振動する。



「だから何でてめぇはさつきに言いに行かねぇんだよ」
「さつき今吉先輩に言うもん」
「今吉さん?」
「年上苦手なのバレた」
「さつきも言わなきゃと思ったんだろ。…殴っといてやろうか」
「そんなことしたら私がアンタを殴るよ」



フンッと鼻で笑う音がしてからこちらにグッと体重をかけてくる。
背の高い私でもさすがに190の男は重い。

昔は私の方が背が高かったのに。



「で、夢が何」
「…何も」
「ふーん」
「ありがと」
「別に」



大輝は深く聞いてこない。
多分、わかってるんだ。
多分だけど。

私はたまに今でもあの“先輩”の夢を見る。
口もきいてくれない、目も合わしてくれない、悪口ばかり言う“先輩”。

怖くて怖くて。
気付いたらベットの上で泣いてる事がよくある。

一階からおばさんが「ご飯よ〜!」と叫ぶ声が聞こえてきて、私も帰ろうとしたら台所にさつきがいた。



「さつき…」
「名前…ごめんね」
「気にしてないって。ありがとう」
「ううん、ごめん」
「ブス二人、母ちゃんが飯食ってけって」
「ブスって言わないの!!大輝!!」
「やーい、お母さんにおっこらっれたー。べー」
「チッ」



頭をバシッと叩かれてヘッドロックかけられたままズルズルダイニングに引きずられる。

さつきはそんな私の頭を撫でていた。

いつも優しいさつきと何だかんだ優しい大輝はやっぱり私の兄、姉って感じで。



「兄ちゃん」
「気持ち悪ぃこと言うな。お前が妹とかねぇわ」
「チッ、二度と呼ぶかくそったれ」
「うるせぇブス」
「二人とも!!」



前言撤回。
さつきが姉で大輝が弟だ。
次パシってやる。

二人ともさつきに頭を叩かれて大人しく席につく。
いただきますもせずに食べ始める大輝に肘を食らわせてからいただきますをした。





(大輝醤油取って)
(やなこった)
(…取って!)
(い や だ)
(二人とも!!)



→あとがき
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