黒バス/長編/今吉 T

□第2話
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スポドリのカゴを持って何とか体育館へ。
私が運び込めば練習は終わっていた。

皆が一斉にスポドリを飲み干していく。
私の苦労って一体なんだったんだ。
重たい思いしてスポドリ運んできたのにありがとうも言わずにガブガブ飲み干していく。

すぐに空になってカゴに戻される容器たちを横目に、私はさつきと話していた。



「青峰くん来ないね…」
「大輝ならさっきあったよ。そして帰った」
「呼び止めてよ!!」
「無駄無駄。アイツは聞かないって絶対に」
「名前言ったこと無いじゃない、練習来いって」
「っはは!言ったってあれは来ないよ」
「笑い事じゃ…」



はぁ…とため息をついてノートを書いているさつきの横で、ベンチに座りながら足をぶらぶらさせる。
暇だ 切実に暇だ。

空は馬鹿みたいに青いのに私は遊びにも行けない。
部活入らなきゃよかったかな。
カラオケ行きたい。



「いつもすまんなぁ」
「?あ、今吉先輩」
「お疲れ様です」
「おー」



そう言って私の横に腰かける先輩。
男子苦手に加え年上。
最悪のパターン…。

この人はなに考えてるかよくわからないからさらに怖い。



「青峰は練習は来ぇへんけど試合は出る言う約束やし、しゃーないわ」
「でも、明日は私が青峰くんに言ってみます!」
「真面目やなぁ」



またケラケラ笑う。
さつきと今吉先輩は私を挟んで会話していた。
私はただポケーッと空を見上げていた。

昔は大輝もバスケが大好きで、練習だって一生懸命やってたのに…。
まぁ私にはどうでもいいか。



「聞いとる?」
「はぃ!?」
「いや、名字聞いとるかなと」
「き、聞いてま…すん」
「どっちやねん」



あははと笑う先輩は空の容器をペコペコへこませて遊びながら空を見上げた。
私も空を見る。



「名字は偉いなぁ、マネージャーの仕事何一つ文句言わんと」
「そ、そーですかね…普通かな、と…」
「いつもニコニコして笑顔張り付けて、疲れへんの?」
「!?」



もしかして先輩や男子が苦手なの…バレてる?
驚いてさつきの方を見ればさつきはいなかった。


「いつのまに…」
「さっき呼ばれて行ったで?」
「うっ…」



うつむき縮こまれば頭をポンポンされた。
肩をビクつかせて驚いて先輩を見ればニコニコしてて、何かよくわからなかった。



「無理しなや」
「…?」
「自分、潰れてまうで?」



今度は頭を撫でて立ち上がり、コートに入り他の先輩や桜井くんと話を始める。
先輩は気が付いたのかな…。
まさか入部数日で見破られるなんて思わなかったから驚いた。

私は容器の入ったカゴの所に行き、容器を回収しにまわった。

今吉先輩だけが、「おーきに」と一言かけてからカゴに入れ、桜井くんだけが「スミマセン!!」と謝ってカゴに入れてた。
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