BLEACH/短編

□merry X'mas
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缶を開けようと缶を上から見た。

その瞬間、私は固まった。

一護はそのまま前を見てココアを飲んでいる。



「い、一護…?」
「あ?」
「あの…誰かにもらいました?これ」
「俺が買った」
「………」



視線を元に戻してもう一度見る。
缶の上は銀色で、プルトップがついている。

そしてその缶の銀色の部分に書かれた文字。
一護の字だし一護が買ったし…。



「名前?」
「………」
「飲まねぇの?」
「飲めないじゃん…ばか…」
「何で」
「…もったいないよ…」



飲んだら缶は捨てなきゃならない。
捨てられない。
捨てたくない。
たった二文字なのに…
それは大切なものに思えて仕方がなかった。



「受け入れんなら飲め」
「…うん」



カチッと音を立てて開いた缶コーヒーに口をつけた。
丁度飲める温度にまでなっていた缶コーヒー。



「…ありがと」
「どっちが?」
「コーヒーも…文字も」
「…あぁ」



そう言って一護の肩に頭をのせて目を閉じた。
さっきまで寒かったのに今は隣にいる一護と缶コーヒーで温かい。

缶コーヒーを飲みながら小さい小さい声で私も缶に書いてある二文字を一護に告げた。



「…好き」
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