連載

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時刻は深夜0時。
焔王坊ちゃまはお休みになられた。
本来なら、明日に備えて私も眠っているはずだった。
なのに、思いだされるのは、男鹿の笑顔。
そして、ヒルダの照れた顔。

「ヒルダ・・・」

男鹿を想う時、接する時、それらすべては見た事は無い表情だった。
それをさせているのは男鹿、ただ一人。

・・・私は、そんなヒルダを悲しませることをしてしまうの?

それだったら、この思いは封をしよう。
だってヒルダには、幸せになってほしい。


「ふふ・・・」

最初は男鹿とヒルダが付き合うなんてもっての他で。
でも、男鹿ならヒルダを任せられる気がした。

「・・・ヨルダか?」
「あ、坊ちゃま・・・眠れないのですか?」

まだまだ眠たいのだろう、目をこする焔王坊ちゃま。

「ヨルダは寝ないのかの?」
「あ、すぐに寝ますわ」

だから坊ちゃまは心配しないでください、と言おうとしたら。

「・・・坊ちゃま?」
「あまり無理するでないぞ?」
「・・・・ありがたきお言葉ですわ」

まさか焔王坊ちゃまにまで心配されるとは。
しかしなんてお心が広い方なのだろうか。
いまだ眠そうにする坊ちゃまを抱き寄せ、目を閉じるのだった。


言おう・・・ピリオドをうつために。























































「・・・ちょっといいかしら」
「・・・なんだよ」

学校から帰る途中である男鹿とヒルダの前に現れた。
男鹿は警戒していた。
昨日はゲームしたというのに。
まあ、昨日はヒルダが居なかったからか。
でも、それは関係ない。
関係ない、はずなのに・・・

「お、男鹿・・・」

いざ目の前にすると、この思いを終わりにしたくない、と思ってしまった。
けど、それはヒルダとの決別を意味する。
それだけは避けたい、なのに・・・

「・・・言っとくけど、ヒルダのことで邪魔されたくねえ」
「男鹿・・・」

真剣な目が、私を射抜く。
キュ、と拳を握った。

「・・・・・・、よ」
「あ?」
「分かった、わよ」

ついに、認めてしまった。
みるみるうちに笑顔になる男鹿とヒルダ。
そして、逆に私の心は冷えていった。

「ありがとうなヨルダ!」
「・・・べ、別に・・・」

無邪気な表情な男鹿は、やっぱり私の胸を苦しくさせるだけだった。

「ヒルダを悲しませたら承知しないからね!」
「誰がするかよ!」

微笑みあう男鹿とヒルダ。
見れば、本当の夫婦のような、穏やかな時間が流れている。
それでいい、それがいいのだ。














あーあ、こんな結末になるなんて。
誰が予想しただろうか。
もちろん、私では無い。
まさしくそれは



『天変地異』



な出来事であった。








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