連載
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「はあ・・・」
ひとつため息をついて肘をついた。
しして思い出されるのは昨日の出来事。
『そいつ困ってるだろ』
そういって悪魔が降臨した。
結果的にあの男たちは逃げていって助かったが。
私はあんたたちの付き合いに反対してるんだからね。
そんな私を助けた男鹿の行動に違和感を感じていた。
「でも認めないんだから・・・」
やっぱりヒルダを取られるのは悔しいから感謝なんてしないけど!
ふと時計をみれば、すでに“あの時間”になっていたから、今までの考えてた事を振り払うかのように急いで転送するのだった。
「ヒルダーー!!」
ガバリ、と姉を抱けば、同じ翡翠の目と合った。
ちなみに男鹿は居ない。
男鹿が学校で居ない時を狙ってきているからである。
「毎日毎日・・・飽きないのか?」
「全然!」
飽きるわけないじゃない!
抱きしめて、感触を楽しんだ。
男鹿に飽きたら私にきていいからね?
と言えば、
それは無いな、と言われた。
「・・・惚れたのだ、心底」
坊ちゃまの次にだがな、と微笑むヒルダに見とれてしまった。
しかしこの表情をさせているのが男鹿な事は悔しかった。
「・・・もうそろそろ坊ちゃまと男鹿が帰ってくる」
私と男鹿の仲が悪いことはヒルダも知っていた。
だから気をつかっての発言だったのだろう。
しかし。
「ただいま」
「アイダブ!」
ヒルダの忠告むなしく、男鹿が帰ってきてしまった。
「なんでいんの?」
「居たら悪い?」
目視できるくらいの火花が散った。
だけど負ける気はない。
負けたらヒルダが取られちゃうもの。
「あ、そーいやヒルダ」
「む?」
何かを思い出したように鞄を漁る男鹿。
中には教科書なんてない。
何しに学校に行ってんのよ、と思っていると、
そこから取り出したのは茶色い封筒。
「安かったから」
中は、ホカホカのコロッケだった。
「・・・ありがとう」
「ん」
男鹿の手からヒルダにわたり、礼を言っただけなのに。
なぜか目が離せなかった。
「・・・美味しい」
「そりゃ良かった」
ヒルダが微笑めば、男鹿も口元を緩める。
なぜだかそれが“本物の家族”に見えて悔しかった。
そして羨ましかった・・・・・・・・