小説
□発熱
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「おぉ」
珍しく感嘆の声を上げるヒルダだったが、俺は何も反応できないでいた。
というか、体が硬直した。
・・・熱を帯びて。
「さあ坊ちゃま、暖を取るなら今です」
そう言って、ベル坊の小さな手が頬に触れた。
ペチリ、赤ん坊特有の柔らかさに痛みは感じない。感じないのだが、なぜかジンジンと熱い。
とうか、自ら熱を放っている、いや、比喩とかではなく。
「お前何して・・・!」
やっと絞り出した言葉に、ヒルダは鼻をならした。さも当然、のように。
「貴様はどうも冷え症らしいからな。熱くさせてもらった」
「だからって・・・!」
言っている途中、思い出してまた熱くなった。
絶対顔が赤いはずだ。
くそう、ヒルダのやつ笑いやがって。
「思い出したのか?ん?」
答えはイエス、だ。
「たまにはいいだろう?」
「・・・あとで覚えとけよ」
絶対泣かす!!