小説

□その後のお話
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アニメ版べるべる西遊記より
*矛盾、というか何かがおかしい男鹿ヒル文





最近ヒルダの様子がおかしい、というか機嫌が悪い。
視線は下で、眉を少し潜めて。視線が合えば明らかに逸らされて。
いくら寛大で心優しい俺でも、堪忍袋の緒が切れた(お前がそれ言うか?by古市)


「お前何したいわけ?」
「…何のことだ?」
「あからさまに避けやがって。俺何かしたか?」
「……」


え、なにその目。
その蔑むような目は一体何なのだ。


「貴様にとって私は…とるにとらない存在なのだろ?」
「は?何言って…」
『「なんか忘れてるような…まいっか」』
「へ?」


あれ、なんか覚えがあるセリフだな。このセリフは確か…


「1月8日放送、“べるべる西遊記”で貴様が最後に言ったセリフだ」
「そうそう!…ん?で、なんでそれが?」
「貴様は…人の事忘れといてのんきにたこ焼きなんか食べおって…!」
「あぁあれか!ってあれ台本!演技だっつーの!」
「ふん、どうだかな」
「だから…」


あれはどーしようも無かったんだよだって台本にそう書いてあったし!
俺だってヒルダが出ればなー、なんて思ってたのに出ないし。


「………んだからな」
「ん?」
「寂しかったんだからな!!」
「……え?」
「!?あ、いや、そのっ…そう、坊っちゃまと会えなくて寂しかったのだ!!」
「……ふーん」


やば、ニヤニヤが止まらない。
早口でまくし立て、後ろ向いて隠してるつもりだろうけど。
耳まで真っ赤だぜ?

……可愛い。


「ヒルダ」
「!?ちょっ…」
「てめぇの事、忘れるわけねーだろ」


腕を引っ張って引き寄せて抱き締めた。
ヒルダの匂いを肺いっぱいに吸い込んだ。不思議と落ち着く。


「な?」
「……、次忘れたら承知しないからな」
「へーへー」


まぁそんな事はないだろうな、とヒルダに頬を寄せてそう思うのだった。








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