小説
□隣にいるこいつらと、
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「今年も色々あったなぁ」
母親から買い物を頼まれた帰り道、ふと呟いた。
寒さのためか、白い息が舞った。
高校入学してケンカ三昧。
それは中学の時もだったから別に変わりゃしないのだが。
「そうか?」
「ダ?」
「いや、お前らだからね“色々”って」
揃って首を傾げるヒルダとベル坊にツッコミを入れた。
そう、去年までは居なかった存在。
「相変わらずケンカばかりではないか」
「ダ!」
「いや、そうなんだけどよ」
でも、明らかに自分の中で変わったのだ。
……当の本人たちは気づいてないが。
「?」
「ま、こっちの話」
最初は嫌で仕方なかった。
超高圧的な侍女悪魔と癇癪=電撃な赤ん坊が一緒に住むことになった時なんてどんなに絶望した事か。
東条や邦枝、六……あれ、何だっけ?…まぁ、そいつらにベル坊を押し付けようとしてたのが懐かしい。
「ベル坊、ヒルダ」
「ダァ?」
「ん?」
でも今は、隣に居るこいつらが無性に愛しくて。
「来年もよろしくな」
「ダ−!」
「当然だ、貴様は坊っちゃまの親なのだからな」
あぁやっぱり分かってねぇな、こいつら
まぁ、まだ一緒に居れるのは決まったからいいや
自然と口角が上がるのが分かってくすぐったさを感じた、年末の寒い日の事。