小説

□私だけに
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*男鹿ヒル要素あり




「はぁ……」


古市からため息がもれた。
どうせまたアホな事で悩んでるのだろう。


「あぁ…ヒルダさん、どうして貴方はそんなに美しいのですか…?」


やはりその類いであったか。
予想していたとはいえ何となくイライラしたから蹴ってやった。


「本当気持ち悪いわね」
「ラミア!?」


いきなりの登場に目を白黒させる古市を無視し、さりげなく古市の隣にくる。


「大体、ヒルダ姉様には…」
「分かってるよ、そんなこと」


そう、いくらヒルダ姉様の事を想ったって無駄なことなのだ。
だってヒルダ姉様には…


「何て言うんだろうな?」
「は?」
「ヒルダさんの事は好きだけど…多分、男鹿とは違う意味で、かな。」


だから大丈夫だろ?とウインクまでしてくる古市。
その自信はどこからくるんだ。


「…殺されない程度に頑張りなさいよ」


いくら親友とはいえ、ヒルダ姉様の事になると目の色を変える男に何かされる事はなきにしもあらず、だ。古市もそれを知っているため、苦笑いを浮かべているが。


「心配してくれるのか?」
「へっ!?そそそんな事あるわけないじゃない!!」


わ、私はただ軽い気持ちで言っただけであって、古市の事なんて…


「が、頑張って…ヒルダ姉様にやられてしまえばいいのよ!!」
「それは勘弁してほしいな」
「あ…」


ポン、と頭に手をのせられた。
なんだかそれは子供扱いされてるみたいで面白くないけども。


古市って、こういう顔もするんだ……














近くで見れる、古市の表情は私にだけ向けられているもので。
それだけで嬉しく思える自分がいた。







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