小説
□違い
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あいつの背中は他の奴に比べて小さい。
物理的な意味でも、精神的な意味でも。
そんな奴の背中を目で追ってしまう私の両目は終わってるのだろうか。
あ…古市と目が合った。
しかし古市はプイッと視線を外した。
……なんかムカつく。
女の子大好きな古市のはずなのに、女の子である私には近づきもしないだなんて。あげくの果てにはシカト。
とりあえず、足を蹴ってみる。
「ちょっと!古市のくせに生意気よ!」
「いたっ!ラミア何してんだ!」
ふん、私をシカトした罰よ、いい気味だわ。
鼻を鳴らすと、それが気に入らなかったのか、古市は眉間に皺を寄せて顔を近づけてきた。
それに驚いた私は思わず短く叫んだ後、古市の体を突飛ばした…と思った。
しかし古市はそれに耐え、右足が一歩後ろに退いたくらいで終わった。
「だから、何したいんだよ」
「な、なんで……」
違いをまざまざと見せつけられた気がした。
そして高鳴る鼓動。
「ふ、ふ……」
「?」
「古市のくせにーーー!!」
気付いたら、叫んで逃げてた。
嘘よ嘘!!
私があんな奴……!!
しかし、誤魔化しようがないくらい顔が熱いことはどうしようもない事実だった。
「何だったんだ?」
智将とまで呼ばれる古市でさえ、首を傾げていた。