小説
□何をしている?
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「ただいまーっと」
「おぉ、帰ってきたか辰巳!!」
「へ!?た、たつみ!?……んん!!?」
「………待ちわびておったぞ」
「………(やべぇ、こいつ、可愛い……)」
「辰巳……私はお前のこと」
「ヒルダ……」
********
「ん………
は!!…………なんだ、夢か」
なんつー夢見てんだ俺…
まさかヒルダが笑顔でお出迎え、しかもチューされたよ俺初めてなのに!
って違うだろ!
普段と全く違うヒルダの様子に混乱しつつ、唇をなぞる……
妙にリアルだったなー…
思わずにやけそうになった。でも、すぐに虚しくなった。
夢の中でしか名前を呼ばれないなんて。
ま、そもそも甘い関係ではないからな、俺たち。
そういやあいつ、夢の中で何か言いかけてたな…
なんだったんだ?
…………
分からん。
ま、いいや。
「寝るか」
もしかしたらさっきの続き見れるかもしれねーし。
まさかな、と思いつつ期待しながら再び目を閉じるのだった。
「危ないところだった…」
まさかいきなり起き出すとは思わなかったぞ……
でもバレずに済んだようだ。
「辰巳………」
普段呼ばない、というか恥ずかしくて呼べない彼の名を呟く。
もちろん彼は反応しない。…それでいいのだ。
まさか夜這いしてます、なんて言えないからな…!
男鹿の爆睡っぷりに感謝しつつ、愛の言葉と接吻を贈っていた自分。もちろん彼が寝ている時限定で。
起きてる時なんてとんでもない。逆に暴言ばかり飛び交う。
だから考えた。
そうだ、意識ない時に言おう―…と。
まだ真正面から言う自信は無いからな。
そして今日もまた、彼の唇に自分のを寄せるのだった―……
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