小説
□コントロール不能
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僕の周りは、騎士団隊長としての立場で接する人たちばかりだった。
だから自分を律して、仕事をすることが出来た。
「フレン?」
「へっ!?あ、あぁ、ジュディス…」
だが今はどうだ。
いくら気の張る必要のない宿の中とはいえ、あまりにも間抜けな返事ではないか。
理由は分かってる。
“彼女”だ。
「変なフレン」
目を細めて笑う彼女に心拍数が一気に上昇し、ついでに顔に熱が集中する。
そんな僕に心配そうに顔を覗きこませるから、一気に距離が近くなった。
「〜〜〜!!??」
「風邪?」
「し、失礼するよ!!」
「え?フレン??」
耐えきれなくなって、心配してくれるジュディスを置いていってしまった。
部屋に戻って後悔することになるのだが、もうどうしようもない。
次に会った時はどうしよう…なんて、一緒に旅をしてるのだから嫌でもすぐに会うのだから、そう思ったって仕方ないのだけれど。
とりあえず、軽い挨拶は出来るようになりたい。
(ゃ、ゃ、……)
(フレン?)
(『やっぱり出来ない!!』)
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