小説2

□貪欲
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※男鹿が別人ヒルダが乙女。

キスの味はレモンの味、と聞いたことがある。
小さい頃からケンカ三昧な俺にとって、それを確かめる術はなかったのだが。
しかしそれは、ある悪魔と出会って、それを確かめる事が出来るようになった。
初めて触れた時、特に味はしなかった。
分からなかった、というのが本音だが。
だから2回目、とせがんだら殴られた。
その耳は赤かったから、痛かったけどニヤけた。
それを見られてまた殴られたが。

そして次の日、隙をみて触れてみた。
やっぱり味はしなかった。
顔を真っ赤にしたあいつが殴りかかろうとしたが、それを難なくかわす事ができた。
まあ、昨日と同じ手をくらうかって。
繰り出された右手首をつかみ、また触れてみた。
あーやばい、すっげー柔らけえ。

そしてまた次の日、隙をみて触れてみた。
けど今度は甘いチョコレートの味がした。
基本甘いの苦手だけど、その甘さは病みつきになった。
隙をみて、なんて悠長な事は言えなかった。
ただ求めた。
弱弱しい抵抗なんて気にならなかった。
むしろ燃えるものがあるっつーかなんつーか。

そして次の日。
もう「触れる」だけじゃ物足りなかった。
あいつの全てが欲しくなった。
俺のベッドに眠るベル坊。
親と姉貴は旅行で居ない。
穏やかな寝息をたてるベル坊を抱き上げ、小さな布団の上に寝かせた。
移動した事に気付かず、未だ穏やかに眠っている。
…準備は整った。

「……ヒルダ」

ヒルダは眠るベル坊を一瞬だけ見る。
ここまできてベル坊かよ…
まあ、それすらも考えさせなくしてやるケド。
素早くあいつの腕をつかみ、引き寄せる。
抱きしめれば、緊張しているのが分かった。
いくらヒルダだって、ここまでくれば次に何されるか分かるだろう。
顔を覗きこめば、顔を赤くしてかたくなに目を瞑っていた。

「…いただきます」

うん、抵抗しないし、いいよな?
最初はそっと触れれば、ビクリと肩が揺れた。
この不慣れな感じが堪らない。
もっと、と身を寄せれば、ぐらりと体が傾いた。
後ろは俺のベッドだったから痛くは無かった。
気づけば、数センチ先にはヒルダの顔。

「俺、優しくするから」

といっても、保証はできないが。



























































俺、あいつが欲しくて堪らないんだけど、どうしたらスッキリなると思うか?

知らねぇよ馬鹿ヤローーー!!!!






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