小説2

□誘いの時間
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学校の終業のベルが鳴ったのも一体いつなのか・・・
それすらも気にならなくなる時間で。
外はもう暗く、ため息をついた。
やっと仕事も終わりパタンとパソコンを閉じれば、同じくデスクワークにはげんでいた“同僚”が
金切り声をあげた。

「え!もう終わったの!?」
「・・・ああ」

早く帰って明日に備えなければ。
そう思って帰る準備をしていると、スッと目の前が薄暗くなった。

「ね〜え、カラスマ」
「なんだ」

彼女得意の猫なで声。
目も合わせず言えば、いきなり彼女の白い手が首元めがけてきた。

「!」
「ちょっ!何すんのよ!」
「・・・」

それはもうほぼ無意識だった。
体を少しずらし、彼女が少しバランスを崩した所で腕を引っ張った。
そのまま重力に導かれるまま彼女は床に倒れこみ、その上にまたがった。
信じられない、と目を見開くイリーナ。
しかし、何か考え付いたのか、ニヤリ、と目をこらす。

「あら、このままヤッてもいいのよ?」
「・・・帰る」
「ちょっと!!」

何をバカなことをしているんだ、俺は・・・
これは一度ゆっくり休んだほうがいいな・・・有給が使えるかどうかは別として。

「いつになったら襲うのよカラスマー!」
「誰が襲うか!!」

腕にからみつく柔らかいもの。
それがダイレクトに伝わってごくり、と生唾をのんだ。
しかしこいつに悟られては何言われるかわかったものではない。
普段通り、を演じる。

「もう!このカイショーナシ!!」

バカな女でよかった・・
というか、観察力も暗殺には必要ではないのだろうか?

「・・・というか、いつまでくっついてる」
「カラスマが襲ってくれるまで」
「・・・・・・・はぁ」

頭が痛くなった。
どこまでこいつは人をおちょくれば気が済むのだ。
というか、男相手にそのセリフは無いだろう。

「女のプライドは無いのか?」
「好きな男の前じゃ、無いも当然ね」

挑発的きな瞳と目があった。

「・・・どうなっても知らないからな」
「お望み通りに」

まずこの煩い口からふさいでやろうか。
イリーナの柔らかさに酔いしれながら、ゆっくり瞳を閉じるのだった・・・

















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