特別な品

□悪魔の眠り姫
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放課後、なぜか早乙女のヤローに呼び出しをくらった。
用件はゼブルスペルの広がり具合を見たかっただけらしいが。
俺は早々と切り上げ、教室で待っている侍女悪魔の元へと向かうのだった。


「わりいなヒル・・・ダ?」


侍女悪魔・・・ヒルダはそこにいた。
しかし机に頭をくっつけ、腕を組んでいる状態。
こっそり近づいてみれば、かすかな寝息が聞こえた。


「おーい、ヒルダー・・・」
「・・・」


・・・・無反応。
というか。


「無防備すぎだろ・・・」


まあここは学校だし焔王たちが襲ってくる心配はないのだけれど。

家以外じゃ気を張っているヒルダの意外な一面を見れて何故かうれしく思うのだった。


「ダーブ?」
「おっと、そうだった」


動かない俺たちを見て不思議そうに首を傾げるベル坊。
そうだ、帰らなきゃ・・・


「おいヒルダ」
「・・・」
「起きろー・・・」
「・・・すぅ」


ダメだこりゃ。
起きる気配ゼロ。
さてどうしたものか・・・


「・・・・・あ」


俺って頭いいじゃん。
あまりの頭のよさにめまいがするぜ。

俺はヒルダを起こさないように、ゆっくりと椅子を引くのだった・・・





























「ん・・・」


頭が少しぼんやりする。
そして何故か不思議な浮遊感。

・・・!
そうだ、私は坊ちゃまを・・・!


「やっと起きたか」
「男鹿!!?」


ニヤニヤする男鹿と目が合った。
そして自分に置かれた状況に気づく。


「下ろせ!」
「嫌だね」


なぜか男鹿にお姫様抱っこされていた。
羞恥で爆発しそうだ。
ちらりと男鹿を見れば、何が楽しいのか鼻歌まで歌ってる。

・・・悔しくて、男鹿のほっぺたをつねってみた。


「っ・・・何しやがる」
「下ろさないからだ」


それでも男鹿は下ろすそぶりもなく、進んでいく。

はあ・・・


「やっとおとなしくなったか」
「もう無駄なことだからな」


そう言えば、密着していた体を更に密着させていた。


「あったかいな」
「そりゃどうも」


男鹿の体温は暖かく、そして安心できて知らず頬を寄せていて、またうつらうつらと頭が揺れる。
さっきまで寝ていたのに。。。と思ったところで、ヒルダの意識は途切れるのだった・・・



























「・・・やばかった」


なにこの可愛い生物。
擦り寄るとか寝顔とか!
つか完全に安心しやがって。
俺も一応男なんですけど!

ヒルダの寝顔をもう少し見ていたかっただけなのに、思わぬ爆弾に頭を悩ませる男鹿辰巳15歳だった・・・・




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