特別な品

□相談しました。
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「……」


口を大きく開けて鼾をかく男鹿と、穏やかな表情で男鹿に寄り添うように眠る坊っちゃま。

……以前なら。
以前なら、こんな状態は耐えれなかった。
ちょっとケンカが強いだけの、ただの人間の男に坊っちゃまの親として任せるのは。

しかし時の流れは残酷で。

今じゃ坊っちゃまの親として認めていて。


そして坊っちゃまの親、とは違う見方、感情も抱いていて。

貴様のせいで胸が締め付けられるのだ、どうしてくれる…

しかしこの感じも悪くない。むしろ心地よい。

無意識のうちに男鹿の髪を鋤いていた。
意外に髪は柔らかかった。


「へぇ、貴方が契約者の事をねぇ」
「ヨルっ…!?」
「大声出すと起きるわよ?」


振り向くと、坊っちゃまの兄である焔王坊っちゃまに仕え、そして妹であるヨルダが意味ありげな笑みをたたえながら立っていた。


「……何故ここにいる」


まさか見られてないだろうな… 声は平静を装いながら、心臓は煩かった。


「ただの偵察よ。…思わぬ収穫だったけど」
「!!」
「こいつ、“やる時はやる”男だものね。そういう人、好きよ」


坊っちゃまの次にだけど…と言いながらヨルダは男鹿の頬に手を添えて顔を近づけていた。


「あら、女の嫉妬は醜いわよ?」
「…退け」
「はいはい」


案外素直に手をひいたヨルダに疑問ももったが、今はそれどころではない。
こいつを男鹿に近づけさせてはいけない。


「とりあえず今日はこのくらいにしといてあげる」
「……」
「じゃあまたね」


そしてヨルダは次元を越えて消えた。

このモヤモヤはなんだ…
あの調子はからかっているだけではないのか?
…しかし一瞬だけ、一瞬だけ男鹿をみつめる瞳が柔らかかった。
あの目は……















「……ということがあったのです。」


時間が経って次の日の夕方。
ゲームばかりな男鹿から坊っちゃまを救いだし、自室で昨日の事を話した。
もちろんこれでどうにかなるものでは無い。
現に坊っちゃまは首を傾げて見上げていた。
そんな坊っちゃまの頭を撫でると、「ダ!」と腕を振り上げた。


「慰めてくれるのですか?」
「ダーブッ!」
「ありがとうございます、坊っちゃま」


やはり坊っちゃまに相談したのは正解だった。
不思議と心が軽くなり、坊っちゃまを抱き締めるのだった。











男鹿!




ん?




私は頑張るから待っとけよ!!




……は?










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