特別な品

□世の中は不公平です!!
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「だから貴様は…」
「んだと?」


どうもこんにちは、古市です。
最近寒くなってきましたね。もうそろそろマフラーとか必要かも?
あ、僕は空いてるので人肌が恋しい時は言ってくださいね、すぐ駆けつけますから。

…っと、話を戻します。


「あのー、男鹿、ヒルダさん」
「「ん?」」
「あー…俺の事、忘れてません…?」
「「そうか?」」


あーちきしょう!!おんなじタイミングで振り向きやがって!!
なんだよ夫婦か?!夫婦なのか!!?


「別に忘れてはねーよ」
「うむ、忘れてはおらぬが…」


「「気にしてないだけだ」」
「ふざけんなあああぁぁ!!」


もう何これ、なんのイジメえぇぇ!?



心の中で滝のように流れる涙を決して外に出すまいとしていたら、急に後ろから声がした。








「見つけたわよ、こんなところにいたのね」

「ヒル…!?……よ、ヨルダさ、ん」
「今度間違えたら殺すわよ?」
「は、はい…」


ギラリ、とヨルダさんの長ーい武器が鈍く光る。
そんなものが少しズレたら死んでるだろ、みたいなところにあるものだから肝に命じた。
ヒルダさんとヨルダさんを間違えないって。

うわ、男鹿とヒルダさん、めっちゃ警戒してるんですけど。
ベル坊なんて唸りあげてんてんですけど。
雰囲気めっちゃ悪いんですけどーー!!

そんな雰囲気に慣れてるのか、それとも気にしてないのか、ヨルダさんは男鹿の目の前に立ち、顔を近づける。


「そんなことより…男鹿辰巳!」
「あ゛ぁ?」
「ヒルダで…満足してる?」
「「ぶっ!!」」


い、いきなり何言うんですかヨルダさん!
男鹿に言われてるのにこっちまでびっくりしましたよ!!


「満足してるに決まってるだろ!!」
「って男鹿も何言ってんだ!!」
「貴様っっ!!」


それ以上に男鹿の発言にびっくりである。
しかしヨルダさんはまるで知っていたかのように余裕の表情を浮かべていた。


「まぁいいわ」
「…?」
「こうでなきゃ、落としがいがないもの」
「!!?」


それは一瞬の出来事だった。


「じゃあまたね」


頬に手を当てたまま呆ける男鹿と更に雰囲気が悪くなるヒルダさんを残し、ヨルダさんは消えていってしまった。


「……ふん」
「待てよヒルダ!」


少し間が空いて、今度はヒルダさんが男鹿に背を向けて歩き出していた。
そして男鹿は………まぁ、ラブコメ展開である。




そんなことより…


「なんで男鹿ばっかり!」





俺の存在を無視して抱きあう二人をバックに、俺は精一杯叫ぶのだった。







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