特別な品
□一緒に
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『えぇ、0歳から習っていますのよ』
毎日の楽しみである昼ドラを見てまったりした時間を過ごしていた時、とあるCMが目についた。
CMでは、20代後半の女とその子供らしき赤ん坊、50代近くの男が対談するような形で座っていた。
『今は国際化。だから今からでも遅くは無いでしょう』
男がカメラ目線で言う。
そして横から商品を取り出し、説明をしだした。
………こんなもの、坊ちゃまは必要無いな
人間界を滅ぼし、ゆくゆくは大魔王様みたいな方へと成長なさるお方だ
赤ん坊の頃から英語を習わなくったって…
「うわ、赤ちゃんの時から英語ってすげぇな」
「む?貴様学校はどうした?」
いきなり後ろから男鹿の声。
振り向くと、コロッケを頬張る男鹿が突っ立っていた。
「学校?あぁ、昼から自習」
だからサボってきた、と平然と言い放つ男鹿にため息が出た。
「坊ちゃまの頭が悪くなったらお前のせいだからな」
「は?」
「貴様のせいでバカになったらどうするつもりだ」
むぅ、やはりこいつに任せるのは考えものだな。
しかし坊ちゃまはこいつを気にいっておられるし…
「だから英語を習わせるのか?」
「は?」
「いや、さっきのCMをガン見してたから…」
既に画面は違うCMになっていた。
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