特別な品

□宣誓布告です。
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「ほら、行くぞ」


とある休日の昼下がり。
愛しい坊ちゃまとまったりとした時間を過ごしていた時、坊ちゃまの契約者である男がいきなり部屋に入ってきて開口一番、そんなことを言ってくるから首を傾げる事になった。


「は?」
「さっさと準備して行くぞ」
「どこに?」
「っ…、ほ、ほら、コロッケ!俺、コロッケ食べたくなってさ、だから…行こうぜ?」
「………」


そのとってつけた様な理由に何かあるな、と察したが、まぁ、久しぶりにこいつと出かけるのもアリかと思い、彼の手をとった。
…彼の体温がじんわり伝わり、なんともくすぐったい気持ちになったことは内緒にしよう。



















「やっぱうめぇ」
「ダ−!」
「良かったですね、坊ちゃま」


ベンチに座って、3人でコロッケを食べた。
坊ちゃまも喜んでおられるし、今日は男鹿に感謝しよう。
……そういえば、


「姉上様に言われたのか?」
「は?」
「“外でも行ってこい”って。」


大抵こいつがこんな事を言う時は姉上様に命令されて、ということが多い。
今回も……


「いや、全然。お前とデートしたかったから誘った。」
「デート!!?」


ななな、何を言ってるのだこやつは!!?
今、恐ろしく似合わない単語が……


「俺考えたんだよ、どーすればいいか」
「……それで?」
「お前案外鈍いから、どうやって俺がてめぇの事を好……」
「待て待て待て!!」


え、ちょっと待て、こいつは何を言おうとしてる!?


「まぁ、今日はただコロッケ食いに行くだけになったが…」


古市から聞かないといけないな…と腕組みをする男鹿に、ちょっとばかりの不安と多大な羞恥がよぎった。


「安心しろ。次は古市にでも聞いて、ちゃんとした“デートコース”聞いてくっから」
「なっ…!!」
「俺の本気、見せてやる」
「!!!」


ゾクリ、と背筋が凍った。


「だから、覚悟して待っとけよ」


不適な笑みを浮かべたと思ったら、次の瞬間に頬に温もり。
そして男鹿は私の反応を待たずに坊ちゃまを肩に乗せて歩き出していた。


一方残された私はというと。


「こんな事しなくても……」


右頬を押さえ、立ち止まる事しかできなかった………













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