特別な品

□酒と、本音と、
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「……よし」


すやすやと眠るベル坊をみてガッツポーズ。
今日は珍しくぐずらずに寝たか…
よしよし、さっそくゲームでも……
と思ってた矢先、バタバタと騒がしくなる部屋の外。
せっかくベル坊が寝たのに起きちまうじゃねえか…

文句を言おうと扉を開けたら、



ヒルダが飛びこんできた。






















「ちょ、おい…!」


いきなり飛びこまれ、しかも感じる柔らかな感触。
さすがに意識しないとはいかない…
それに、微かに香る酒の匂い。


「うわぁ、めちゃくちゃ酔ってるわね」
「……姉貴?」


嫌な予感。


「ビール飲ませたらすっかり酔っちゃって」


やっぱりかー!!
というかこいつ何歳なの!!?


「こら辰巳、無視するな」
「ちょっ…!」
「……あら、大胆」


両手で頬を挟まれた。
そして近づく唇。


「まっ…おいヒルダ!」
「何だ?」


なんで首傾げてんの!?
いきなり何しようとしたわけ!!?


「何故私からのキスを避ける?」
「キス!?」


口で言われると、更に羞恥心が募る。
しかしヒルダは何とも思ってないようだ。


「……そうか、分かったぞ」
「へ?」
「姉上様」


何かを思いついたようにニヤリと笑い、目を光らせる。
……悪い予感しかしない。


「なぁに、ヒルダちゃん」
「少々お耳を…」


そしてヒルダの言葉に徐々に口角をあげる姉貴に、更に悪い予感がした。

しかし姉貴は何をするわけではなく、むしろ扉へと歩いていく。


「それじゃ……ごゆっくり」


パタン。
静かに扉が閉まり、部屋には俺とヒルダ、そして気持ちよさそうに眠るヒルダ。

実質……二人っきり。


「さぁ辰巳、これなら大丈夫だろ?」
「な、何がだー!?」


右手をヒルダの両手に包まれ、微笑みを浮かべるヒルダにドキリとする。


「坊っちゃまは寝ておられるし、姉上様も居ない。
さぁ……


存分に味わってくれよ?」













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