特別な品
□負けません!!
1ページ/3ページ
「ヒルダ姉様っ」
語尾にハートマークがつきそうな、下手したらハートマークを周りに飛ばしながらヒルダに抱きつくラミアに、何故だか分からないが腹が立った。
俺がしたら嫌がるくせに…
ギロリと睨み付けると、それに気付いたラミアから睨み返された。
「ちょっと、あっち行ってなさいよね」
邪魔なのよ、と付け加えられて更にイラつく。
……せっかくの休日だったのに。
珍しく誰からも邪魔されない、貴重な一日だったのに。
何だか分からないがいきなり来たラミアに邪魔され、さっきからこの調子だ。
本人曰く「ベルゼ様の様子を見にきた」らしいが、今はヒルダにべったりで見向きもしない。
「職務怠慢だっつの…」
「何か言った!?」
小声で言ったつもりが聞こえてたらしい。
おー怖い怖い。
自分でも分かるくらい気持ちが入ってないリアクションをすると、ラミアは更に眉を上げてつっかかってきたが。
「そうだヒルダ姉様!」
「何だ?」
「今からカフェに行きません?美味しそうなとこ、見つけたんです」
「な、おい…!」
「早く早く♪」
鼻歌なんか歌ってヒルダの腕をとって。
咄嗟のことで、俺もヒルダも反応できずじまい。
結局気付いたのは、外から聞こえるラミアのはしゃぐ声でだった……
「負けてたまるか!!」
.