特別な品
□嘘が現実になる時
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外は太陽が照りつける中、クーラーで涼しくなったリビングでベル坊をあやしてたら突然突き刺さる視線。
なんだ…?と思ったら、父、母、姉から見られてたから、思わず動きが止まりベル坊が首を傾げた。
「な、何だよ…」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「聞きたいことぉ?」
神妙な顔つきになってこっちも身構える。
何を言うつもりで……
「二人目、作らないのか?」
********
「ちょっとうるさいわよ辰巳」
耳を押さえて呆れる家族に対し、俺は息を整えることに精一杯だった。思いっきり叫んだからである。
「ベルちゃんにも弟か妹が必要だと思うのよ」
「お母さんたちの場合、新しい孫を見たいだけでしょ」
「あら、よく分かったわね」
笑顔で会話する母と姉に、男鹿は冷や汗をダラダラと流し、顔を青ざめた。
「してるんでしょ?……営み」
「!!?」
姉に耳打ちされ、ビクッてなった。
答えは“NO”だからである。
「美咲、夫婦だから当たり前じゃないか」
「もう、あなたったら」
「そうよねー、余計なお世話だったわ」
「………」
男鹿家の末子は困った。
家族が期待している事はしてないからだ。
というか、俺たちの関係は……
「どうされたのですか?皆さん揃って」
なんてタイミングが悪いんだ!
家族の前じゃ猫かぶりなヒルダが部屋に入ってきて、家族の目が光った。
「ねぇヒルダちゃん?」
「何ですか?」
「二人目…作らないの?」
家族の爆弾発言に、今度はヒルダが絶叫する。
「そ、それは……!」
「それは?」
「〜〜〜!!」
「ちょ、おい!?」
がっと腕を掴まれ、部屋の外へと連れ出された。
ターゲットはヒルダへと切り替わり、じりじりと追い詰めるように言い寄られていたためだ。