特別な品
□オトされました。
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「………ヒルダ?」
「何を言っている」
他に誰に見えるのだ、と眉を歪ませるヒルダだが、男鹿は見間違いではないか、と疑っていた。
「頭でもふいたか?」
……あぁ、この物言いはヒルダだ。
と納得したが、一つだけ納得出来ない事があった。
「お前、その恰好…」
「姉上様と買い物に行ってな。」
買ってもらったのだ、と珍しく笑顔を俺にまで向けるヒルダにちょっとドキッとしたのだが、いやいやいや、と首を振る。
「だからって……」
男鹿が心配するのはヒルダの“恰好”だ。
ナイスバディを活かした、男ならイチコロな恰好である。
しかもその恰好で散歩に行こうと言うのだからたまったものではない。
「黒服は熱を集めて暑いから、と姉上様が言われてな」
「………」
いや、姉貴の事だから絶対思惑があって買っている。
だったらここまで露出のある服を買うか?
「早く行くぞ」
「ちょっ…!」
「ダー!」
腕を引かれ、呆気なく散歩へいく男鹿たちだった。
……男鹿の受難が始まるとは知らずに。
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