特別な品

□ハイリスク・ハイリターン
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「おい、ヒルダ。ちょっとこっちに来い」
「…何故だ?」
「何故って…」


言葉につまる男鹿と、首を傾げるヒルダ。
かなしきかな、ヒルダは男鹿の気持ちを察することができず。

今日もまた、男鹿の嫉妬で終わったかー…
と誰かが呟いたところで、今まで教科書とにらめっこしてた東条が口を開いた。


「おい男鹿」
「んぁ?」
「俺とヒルダの時間を邪魔すんな」
「はああぁぁぁ!!!?」


ざわめきだすクラス。
もう遠巻きに、なんて言ってられない。
ドラマでみるような、ドロドロ展開だからだ。


「てめぇ…」
「さてヒルダ、始めるか」


男鹿のどす黒い雰囲気を察知してるのかしてないのか…
いや、気付いてないだろうな……

目に見えるくらいのオーラを放ってるのにあの笑顔。
さすが、と賞賛すべきなのか…


「今日の夜覚えておけよヒルダ!」
「なっ!?」
「明日足腰立たなくしてやるからな!!」
「何を言ってるんだ貴様は!!」


男鹿の爆弾発言にまたもや歓声が上がる。
それに関係なくヒートアップする夫婦の会話に、クラスのほとんどが釘付けになったのは言うまでもない。





「東条さん」
「ん?」


皆が夫婦に注目するなか、自称東条の“手下1”である相沢がこっそり耳打ちする。


「何煽ってるんすか、男鹿が大変な事になってますよ」
「いやぁ……つい面白くて」


うわぁ、案外Sだこの人…
滅多に見られない東条の“どS顔”に、未だ言い争う夫婦に同情するのだった……












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