文弐

□第碁章
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ガルラベが死んでいくのを黙って見ていたレンナ。
その心にはただの喪失感しかなかった。
ガルラベを倒すために、みんなの敵をとるために今まで力をつけ生きてきた。
それが終わったらあとはいったい何が残るというのだろう。
ガルラベを倒してもレンナは喜べなかった。
どうしてなのだろう。
そんなことを考えていると頭に暖かいのが乗った。
見上げるとグレイがレンナの頭をポンポンと優しく叩いている。
「帰るか・・・?」
「え」
レンナは目を見開く。
「なんで?」
「あぁ?」
「だって勘当されたのに」
グレイは少し笑う。
「弟子じゃなくても、仲間だろ?」
さっきよりも驚いた。
そして泣きそうになる。
「泣いていいぞ」
グレイの言葉に何かの切れレンナは泣き出した。
「う、うわぁぁぁぁぁん!」
たくさん泣いた。
今まで我慢してきたから。
だからたくさん泣いた。




しばらくしてレンナは泣き止んだ。
「帰るぞ、ウェンディたちも心配してる」
グレイの言葉に素直に頷く。
帰るまでの間にグレイはレンナに聞かれてはいないが自分の過去を話した。
デリオラに襲われたこと。
レンナと同じように復讐しようとしたこと。
そのせいでウルを・・・師匠を亡くしてしまったこと。
自分と似ているレンナが、同じ道をたどろうとしているレンナがほっとけなかったこと。
全て話した。
「・・・よく平気にいられるね」
「そんなことねーよ、たまに夢を見るしな・・・だけど仲間がいるから耐えられる」
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