文壱
□ぬらりひょんの孫 九
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白菊と首無は必死に逃げていた。
組の者たちが必死で足止めをしている間に。
少しでも遠くに。
「もう少しで・・・・・・!」
《何が、ですか?》
いきなり前に人形の妖怪が現れた。
「あっ」
瞬時に青ざめる。
妖怪は静かに微笑んだ。
良奴組では組の者たちが次々に襲ってくる妖怪と戦っていた。
数匹の妖怪が氷麗に襲いかかる。
「呪いの吹雪・・・雪化粧」
だが氷付けにされ砕かれた。
他の者たちも各々の畏れを駆使して敵を倒していく。
「明鏡止水“桜”」
その場にいた半分位の妖怪が炎に呑み込まれた。
断末魔が響く。
盃の中の波紋が鳴りやみ炎が消えた頃には妖怪はほとんど消滅していた。
いきなり妖怪どもの動きが止まった。
そして一声にある場所へと向かったのだ。
いきなりのことで困惑する。
「リクオ様!」
黒田坊が何かに気づく。
「首無のところへ行ったのでは?!」
黒田坊の言葉に青ざめた毛倡妓。
「そんな!」
「おうぞ!」
リクオの言葉に妖怪どものあとをついていった。
その先で待ち受けているものは残酷な真実だとは知らずに。