文壱

□ぬらりひょんの孫 八
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その日の夜。
首無はリクオの布団をひいていると白菊が入ってきた。
「白菊どうした?」
首無は理由を尋ねるが俯いたまま答えない。
「白菊?」
何か嫌な予感がした。
白菊に近より肩に片方の手だけををおく。
もう片方の手は白菊の顔を優しく自分に向ける。
「・・・・・・っ」
白菊は泣いていた。
目を真っ赤にして泣いていた。
それがあの時のことを思い出させた。
「義賊さん・・・・・・ごめんなさい」
白菊はそのまま泣き崩れた。




しばらくして落ち着いた白菊に首無は心のどこかでわかっていながらも聞いた。
「どうしたんだ白菊」
「皆さんを広間に」


白菊に言われ妖怪どもを、主にリクオの側近たちを広間に集めた。
もちろん幹部もリクオの祖父ぬらりひょんもいる。
「首無何の話?」
まだ昼のリクオが聞いた。
「いえ、話があるのは・・・」
「あちきでありんす」
白菊はいきなりリクオに土下座した。
「ええ?!白菊?」
いきなりのことで驚く。
だが白菊の言葉のほうが驚いた。
「あちきは密偵でありんす」
密偵という言葉に回りが騒がしくなる。
「あちきはある妖怪に命を吹き込まれました。
ある妖怪を連れてくるため・・・・・・その為油断させるため蘇らされ潜入させられました」
「その妖怪は?」
リクオだろうと思った。
組の若頭であるから。
そしてリクオは白菊を信じうたがわなかったから。
「義賊さんです」
「首無?」
頷く白菊。
「なぜ?」
「萩屋にいた妖怪を殺したとき殺されなかった妖怪が復讐をするため」
そして白菊はまた頭を下げた。
「このままでは義賊さんが殺されてしまう・・・・・・どうか義賊さんを守ってください!」
「無論だ」
リクオは昼の姿ではなく夜の姿になっていた。
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