永遠約束

□0
1ページ/1ページ




ぶわり。

私の涙腺は崩壊した。
本当に、ベルはどうしてこんなにも私を泣かせるのが上手いのだろう。

こんなの、永遠に約束出来る訳ないじゃん。
ベルはカッコいいからきっとモテモテだから。
すぐに私以外の人を見つけて恋をして、永遠を誓うんだ。


…でも、

信じてみてもいいかなって。


私はティアラを取り、頭に乗せてみた。
ゴテゴテとした彫り装飾は私にはやっぱり似合わない。
でも自然とベルが傍に居るような、繋がりがあるようなそんな気持ちが溢れ出す。

ナイフなんて置いてかれても使えないよ。
ベルみたいに何本もないもん。
それでステーキとかを切るなんて出来る訳ないんだから、使い道なんてない。


「(ベルは、今どんな気持ち?)」


同じこの空の下には居ないけど、気持ちだけは同じなのだろうか。
ちゃんと、私達は繋がっているのだろうか。

私のように、世界と言うどうしようもない壁を前にどうにかしようともがいているのだろうか。
いつもみたいに目の前に居ないから見えないし、ベルじゃないから分からない。

それでもただ1つ分かる事。
それはベルが確かに此処で共に過ごしたと言う事実。



あの日倒れたベルを拾った私。

そこから二人の奇妙な居候生活が始まった。

我が儘ばかりで、文句の多い自称王子。
けれどその陰にはきちんと優しさを持っていて。
その優しさに幾度と私は幸せを与えて貰った。

ねえベル。
私は貴方に何かをあげられたかな?

ベルから貰った位、大きくて愛しくて大切で特別な何かをあげられたかな?
ベルは私と居て楽しかったかな?

幸せ、だったかな?


私は祈るように、尋ねるように大空を見上げた。


私達には超えられない壁がありました。

それなのに彼はその壁を蹴破って、私の元に来てくれました。

それは多分必然だったのでしょうか?
それとも彼が運命すらも蹴破ってしまったのでしょうか?

それでも1つだけ、私には分かる事があります。

この物語の主人公は私で、王子様は彼だった事。
彼以外の運命の人にはもうこの先出会えないと言う事。


初めて恋を教えてくれたのは、幻のように儚くて現実よりも強く確かな愛しさをくれた、ベルと言う名前の漫画の世界の人でした。





愛しくて、大切な思い出をありがとう。

私だけのたった1人の王子様。




永遠約束
(それは次元を超えて一生の愛を誓う)(絶対無二の二人だけの誓い)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ