永遠約束

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「ねえ、ねえってばー無視すんなよー」

「いい加減黙ろうか」

「王子マジ暇なんだって、暇死にしてもいいのー?」


ゴロゴロと床で転がるベル。
ベルとは先日助けたあの青年の事で、自称王子な電波な人。
…助けなきゃ良かったのか?


「腹減った、メシー」

「煩い!」

「王子スシ食いたいスシ」

「煩い昨日食べたでしょ、うちは貧乏なんだからいい加減にして!」


ベルは3日前(助けた日)から家に住み着いて来た。
幸いなのが今姉弟は外泊していると言う事で、バレてない。

両親は共に一週間程の旅行に行ってる。



「牛乳飲ませて」

「あんた何様ですか」


俺様ー!とかほざいてるベル。
…無視だ無視。こう言うのは相手するだけ無駄と言う物。


「あ、そーいや服買いたい」

「はぁ?何で急に」

「だってこれオレに合わない」


いやいや。皮肉な事に合ってます。
今現在、ベルには弟の服を着せてあげている。
結構シンプルなデザインだし、髪の色が派手なベルに釣り合いが取れてると思う。


「そう言えばベル何歳?」

「うししっ、知りたい?」

「うん」

「19だよ、お前は?」

「うわ17だ。こんな年上私は認めない」

「王子の勝利!アイム・ウィナー」


いや、別に競ってないし。
それにしても19にしてはこう、幼い。
歳食っただけの子供みたいだ。


「なあ、マジで昼飯いつ?」

「怪我人にはお粥でいいかな」

「王子スシがいいんだって」

「お粥の作り方大丈夫かな…」

「無視か」


ヤバい、そんなの作った事ないよ。
もうこうなったら見よう見まねで作るしか…。


「もういいや。目玉焼きにするわ」

「諦めんなって!目玉焼き飽きた!」

「飽きたって…、タダ飯食ってる奴が文句言うな!」

「だってオレ王子だもん」

「いや意味分かんないし」


こいつの王子発言はもう聞き飽きた。
どうしてだろう、もう何年も聞いてる位に耳タコになってる。


「つーか、此処ジャポーネだろ?」

「え、あ、多分」

「可笑しいよなー。オレイタリアに居た筈なんだけどさ」

「大丈夫、多分それ夢だから」


確かに髪は金髪だし日本人じゃないっぽいけど。
でもイタリアに居たんならあんな場所で倒れてる訳もないし。



「ししっ、まあいいや」

「(……ベルと話すのって疲れるなぁ…)」

「んじゃスシ来たら起こしてね、王子眠いから」


どかっとベッドに倒れ込むベル。
ああ、このまま永眠してくれたらいいのに。


「スシねぇ…」


…山本の所ででも出前を取るかぁ。

私は溜め息を吐いて、携帯を取り出す。
店の番号を押すとコールが掛かった。



「あ、もしもし…」


我が儘王子
(寿司なんてそんなに美味しいの?)(王子スシ愛してるし)(…起きてたのかよ)
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