永遠約束

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いつも通り。
私の日常はいつもその言葉で片付く。

朝早く起きて皆のご飯を作って、支度して、学校に行く。
帰りは朝食と夕飯の買い物を2日に一回のペースでする。
これは数年間続いているわけで、もう習慣になっていた。


けれどもこれは確かに、普通では済まされない非日常だ。



「……お兄さん、大丈夫?」


スーパーの帰り道。
家へと繋がる近道に、少し重たい足を進めた。
そこでまさかの体制な人を見つけた。
服は血まみれで、倒れた状態。
当然と言えば当然だけど返事は帰って来ない。


「生きて、る?」

「……」


つん、と触ればピクリと動いた肩。
私は何故か酷く安堵して、鞄から携帯を取り出した。


「取り敢えず救急車呼ぶから、もう少し辛抱してて」


119、とボタンを押して相手が出るのを待つ。
けれど携帯は突然、勢い良く払われた。

この、青年によって。



「何してんの、呼べないでしょ!」

「……よ…ぶな…」

「いいから。大人しくしてよ!」

「…呼んだ、ら……殺すぜ…」


殺すって、そんな事は出来ない癖に。
声を出すのもままならない状態で、一体何がこの人を動かすのか。
頑なに拒否された為、私は仕方なく携帯を閉じた。



「よいしょっ…」


服にお兄さんの血が付いたけど、人の命には変えられない。
だからそのまま、何とか足を踏み出す。


「…何して…んの」

「救急車呼べないから、私の家に連れてく」

「…やめろ」


少しずつ話せるようになって来たのか、さっきよりも言葉はしっかりとしていた。
でもそれとこれとは別。
こんな所で放置したら、多分死んじゃうから。

そんな私の考えも知らずに、お兄さんは小さな抵抗を続けた。


「暴れないでって、ただでさえ重いのに!」

「降ろせよ…」

「煩い、聞こえない」


体制を整えて少し歩けば暴れられて崩す。
また整えては崩す。
そんな子供じみた事を繰り返す内に、漸く我が家に着いた。



落とし物
(私が拾ったのは)(血まみれの人間でした)
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