はぐれ兎

□九匹
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「きょ……や…?」


ぐっ、と強く締めらる。
…恭弥の表情は、伺えない。

恭弥はどうしてこんな事をしてるの?



「ねえ」

「な、に?」

「僕の事。男だって意識してる?」


耳元で聞こえた恭弥の声はいつもとは少し違くて。
自惚れて、しまいそうになる。



「してるよ、恭弥は優しくて大切な…」



伝えるなら、今しかないよね?


私はこの言葉を、初めて誰かに伝えます。
初恋を、この気持ちを。貴方に知って貰いたい。



「私の、好きな人です」



最初はとても怖かった。
皆、雲雀さんに襲われた、とか。殴られた、とか言っていたから。
だから初めてマカが見つかってしまった時は、スゴくスゴく怖くて。

でも、
恭弥に向き合って傍に居たら、それはいつからか恋愛感情になっていた。
優しくて暖かい彼に惹かれていた。

だから私はきちんと気持ちを伝えて、この恋に終止符を打ちたい。
そして今まで通り、恭弥と笑い合えたらそれでいい。



 
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