はぐれ兎

□八匹
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「心ちゃん…探して、くれたの?」

「もっちろん!友達探すのは当然ー…なんて偉そうに言う事でもないけどね」


あはは、と笑って私に歩み寄って来る心ちゃん。
ニコニコと可愛い笑みを浮かべて。

…恭弥も可愛いって言っていた、心ちゃん。

まは胸がチクンと痛む。



「…ねぇ、心ちゃん…」

「ん?どうしたの?」

「あの、ね」


ゴクリと喉を鳴らす。
前の私はこんなに言葉を詰まらせた事があったっけ?
言いたい事は正直に伝えられたのに。


「心ちゃんは、恭弥の事が好き、な、の?」

「へ?恭弥…?」


言えた、聞く事が出来た…っ!
うん。と頷いたら心ちゃんは花のように笑った。


「うん!大好きだよ!
壱花ちゃんも大好きだけどね!」


ドクン


今までで一番大きい悲痛が訪れた。

どうして?どうしてなの?
私ってこんなに醜い生き物だったの?

恭弥と心ちゃんが両思いだったってだけじゃない。



「良かっ、たね…きっと両思いだよっ」


精一杯の笑顔でそう言った。
否、言ってしまった。

…私は段々嘘つきになっちゃうね。



「え!?りょ、両思い!?」

「うん、きっとそうだよ」

「あはははは!私と恭弥が!?
あれ、聞いてなかったっけ?」



きょとん、と笑いを堪えながら心ちゃんは言った。
何が可笑しかったのかな…?



「私、本名は雲雀心」

「…………え、それって」

「そ!恭弥の双子の妹なのでしたー!」



 
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