はぐれ兎
□七匹
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「…心?どうして」
「仲が良かったな、って」
「まあ仲は悪くはないね。好きかって聞かれれば好きだし…」
ズキン。
胸が軋む、握り締められるみたいに。
無性に泣きたくなるのを堪えて、私は必死に笑った。
「二人が仲良しだと、私も嬉しいよ」
ごめんね。
ごめんね恭弥。
私、初めて恭弥に嘘付いた。
「そう、でも心は…」
恭弥が何か言い掛けた瞬間。
"聞きたくない"
その言葉が脳裏をよぎった。
「ご、ごめんね恭弥…!」
私は恭弥に謝って、その場から走り去った。
暖かい恭弥の手を、振り解いて。
「(ごめんなさいっ…)」
涙が、何故か止まらなかった。