はぐれ兎

□四匹
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「あ、壱花〜。ちょっとさぁ、ウチらの掃除当番変わってくれなぁい?」

「ほらぁ、壱花と違ってウチら彼氏とデートするからぁ」


…まただ。
この二人が掃除当番の時はいつも私がやる。
理由はやりたくない訳でもないし、それにやる気の無い人が掃除しても綺麗にはならないから。
私が掃除して誰かが気持ち良く教室に居られるなら、嬉しいかなって。



「うん。いいよ」

「あは!ありがと」

「んじゃぁんねぇ!」


スタスタと出口に向かう二人。
私は溜め息を吐いて、掃除道具をしまうロッカーに向かった。



「きゃ、すす、すみません!!」

「どうして此処に…!」


二人の悲鳴を聞いて、私はそちらに視線を向けた。
そこには顔面蒼白にした二人と…


「おや。君達今日は掃除当番じゃなかった?」

「ああ…あの…」


眉間に皺を寄せた雲雀さんが立っていた。


「ワオ、人に当番を押し付けて帰るんだ」

「ち、違います…!トト、トイレに行こうとしてただけで!」

「そうなんですよ!だ、だよね壱花!?」


ばっ、と一気に視線が私に集まる。


「私、その二人に頼まれました…。
二人共、私と違ってデートがあるからって」


…此処は助けてあげたいけど、嘘はつきたくないからごめんね。

私の返事を聞いて、更に紙のように顔を白くした二人。



「並盛の風紀を乱すなら、咬み殺すよ」


チャキ、と学ランに仕込んであったトンファーを出すと二人共土下座して謝った。
雲雀さんは、本当に恐れられてるんだ。

信じられないけど、私はそれを目の当たりにした。



「ほら、行くよ」

「あ…私、ですか?」

「他に誰が居るのさ」



教室に入って来た雲雀さんは、私の腕を引いて応接室へと向かった。



 
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