はぐれ兎
□三匹
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「マカ、良かったね」
私は雲雀さんの後ろに付いて、応接室へと向かっている。
私が風紀委員に入る事を条件に、マカを飼育する事を許してくれた。
怖いって聞いてた雲雀さんは、案外優しい人なのかもしれない。
「此処だよ」
案内された応接室は思っていたよりも広かった。
普通に此処で生活出来そうな位。
「その兎貸して」
「え?あ、はい」
マカを雲雀さんに渡すと、雲雀さんはマカをじっと見た。
…どうしたんだろう、何か付いてるのかな。
「これ、何て言うの?」
「名前ですか?マカって言います」
「へぇ…」
そして雲雀は指先でマカの喉元を撫でた。
猫じゃないんだから、と思わず笑みが零れる。
でもマカは雲雀さんに応えるように、雲雀さんの指を小さな舌でチロリと舐めた。
「ワオ、懐いたのかい?」
「そうかも」
私もマカの頭を撫でると、雲雀さんは私にマカを返して大きめの段ボールを持って来た。
「これに入れておきなよ、明日までには専用の場所手配させておくから」
「ありがとうございます、雲雀さん」
ひょい、と段ボールにマカを入れる。
サイズはそこそこ大きいし、マカは小さいから窮屈ではなさそう。