以心伝心

□act.8
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「んまあっ!ステラちゃん可愛いわぁ!」

「うしし、さっすがステラ」


私はベルとルッスに半ば強制連行されて、如何にも高級そうな洋服やらドレスやらが並ぶ店舗に来ていた。
そして次から次へと着せ替え人形にでもなったかのように、試着の繰り返し。
……いい加減疲れたんですがっ。


「あら、あっちのドレスもいいわね!」

「いやあっちだろ」

「もう!ベルちゃんより私の方が女の子のドレスは分かるのよ!」

「は?あり得ないし。だってオレ王子だから」

「意味分かんない上に引っ張るなよ」


ぐいぐいと私の両腕を引くルッスとベル。
人を使って対抗するのは止めてください。


「…て言うか何でドレス?
私そんなの要らないしお金もない!」

「え、お前知らねーの?」

「そう言えば言うの忘れてたわぁ!」


そう叫ぶルッスを何やってんだよ、と蹴り飛ばすベルに更に疑問が強まる。
さっきから二人は一体、何の話をしているのだろうか。


「今日の夜さ、9代目の屋敷でパーティーがあるんだぜ」

「えええ!?」

「美味しい物が沢山出るのよ!」

「やったああ!!」

「9代目が自ら始めると言ったらしいから、大層豪勢なパーティーになんだろうな」


だからちゃんとした格好にするんだよ、と新しいドレスを差し出すベル。
それに負けたと言わんばかりの顔をするルッスが変で、思わず吹き出した。



「ほら、着替えて来いよお姫様」

「おっ…!?」

「ししっ、ジョーダン」


白い歯を見せて笑うベルを叩き、控え室へと走って行った。

…好きな人にそんな事言われたら心臓がいくつあっても足りない!

赤らめた顔を隠すように、私はドレスに顔をうずめた。




君からのプレゼント
(ベルが選んでくれたドレスは)(少しだけキツかった…)

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