ANOTHER
□逆転のヒメサマン
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『ああ!じれったいなぁ…もう』
まさか、いい大人が一年もたって、何の進展もしていないとは思わなかったわ。
あれだけ敵対していた御剣検事の弁護を完璧にやってのけて、二人はこれから手に手をとりあって…まぁ、真宵にはかわいそうだけど…十何年越しの恋を実らせて、花咲かせるものだと思っていたのに!
それなのに…御剣検事の方は失踪なんてしちゃったし。
ナルホドくんは、それを追おうとしないばかりか、なんか逆に拗ねちゃってるし。
そんなんで、男同士なんていうハードルを越えられると思っているのかしら?
ましてや、常識にはうるさい法曹界で!
甘いのよね。
今も昔も…待ってれば、そのうちタナボタ式にほしいものが落ちてくると思ったら、大きな間違い!
第一、あの御剣検事が、そう都合よく落ちてくるものですか!
『全く…世話がやけるんだから…』
でも、ここには真宵も春美もいないし…だからといって、このまま見ているだけっていうのは、こっちがイライラしてきちゃうし…。
この際…見た目とか、そんなのは気にしてられないかな…
もうちょっと…普通のほうがよかったけど。
これも、かわいい後輩のため…か。
『仕方ないわね』
久しぶりに能力を高める。その感覚に、逆毛が立つ。
――― 降りるわよ!
そう思った瞬間にそれは起こる。
「やっぱり…ちょっと嫌かなぁ…このビジュアルは…」
そうしゃべったのは、机の上にちょこんとおかれたマスコット。
高さ十センチくらいの…かわいらしいヒメサマンの人形だった。
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