私の愛した世界
□第一章
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「ふー…。」
ようやく朝が終わり、ほっと一息つく。
まぁ…、生きていてよかった気がする。
しかし…何故だろう。
浮いている気がする。
まぁ、慣れてはいるが…。
顔無しなのに、存在感が強い自分は昔から周囲から浮いていた。
いっそ役持ちなら良かったものの、望んで役持ちになれるわけでもない。
せめて、この役持ちの出来損ないのような体質をどうにかしてほしいものだ。
子供の頃から、この厄介な体質のせいで幾度となく役持ちに間違われ…。
「見て、兄弟。見慣れない役持ちがいるよ?」
間違われ…。
「本当だね、兄弟!!殺っちゃってもいいかな?」
間違われて…。
「駄目じゃないかな。ウチの制服着てるし…。」
本当によく間違われて…。
「そうだね。でも、僕らは知らなかったよ?」
…本当によく間違われているのだった。