晴天の風

□序章
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日の光が、まぶしい。

夏の空は澄んでいる。


その中でも今日は、特に心地いい日だった。

そんな中、私は・・・。


「ご利用ありがとうございましたー!!」


汗をかきながらガソリンスタンドに佇んでいた。


元々、晴れた日というのは気温が高い。

それは仕方がないことだとは思う。

しかし、その中で大声を出すというのは想像以上の重労働なわけで・・・。


「お疲れ様。少し休んでていいわよ?」


先輩に声をかけられる。


「はい・・・。ではお言葉に甘えて。」

小さくお辞儀をしてスタッフルームに控える。


華の高校生・・・になるはずだった。

が、現実はこうしてガソリンスタンドで働いている。

理由というのは単純で、馬鹿だからだ。


どこの地域にも大体、とてつもなく馬鹿な高校というものはある。

よって、名前しかかけないような人でも、どうにかして高校に入れる。

そういう意味では、純粋に馬鹿で落ちた私がおかしいのだろう。

公立高校は勿論、1番馬鹿な私立高校にも入学を拒まれた。


昔から、特技は武術だけだった。

これでも、全国大会で優勝した経験もある。

かろうじて、ここで雇ってもらえたのもそれが原因だ。

剣道・空手・柔道・弓道などなど・・・。

武術なら大体はできる。

当然、いくつかのスカウトも受けた。


しかし、そんな高校にも入試はある。

それがイヤで仕方がなかった。

この武術の才能を半分でも勉強にまわせたら・・・。


何回そんなことを考えただろう。
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