火曜日に
□第一話〜働いたら負けだと思う〜
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カリカリ…。
手元のノートにひたすらとペンを走らせる。
『真面目』とか、『努力家』とかいうのが周囲の私への評価だ。
しかしはっきりと言おう。
私は勉強が大嫌いだ。
では何故勉強しているか。
この答えは案外、簡単だったりする。
ハッキリ言おう。
そのほうが私らしい。
私は俗に言う『隠れヲタク』というヤツなのだ。
学校にはパソコンもないし、漫画もない。
ついでに言えば、友達もいない。
つまり…することがない。
中学2年生にしてこう思えることに一種の末期症状を感じなくもないが、事実は仕方がない。
まあ、そんなわけで学校で勉強を済ませて、家ではパソコンと同人活動、アニメ、その他に時間を費やしている。
「おい、佐野」
ふと顔を上げると、そこに居たのは…キノコな少年だった。
キノコ…。
何ゆえキノコ?
狙ったの?狙ったよね?
じゃないと、それは出来ないよね?
「聞いてるのか?」
その不機嫌そうな顔は何?
ツンデレなの?
ツンデレのアピールなの?
頭の中で、大量の疑問符が交錯している。
「佐野!聞く気はあるのか?!」
キノコは何故か偉そうにしている。
「す、すいません。突然だったので…。」
ついでに、敬語は私なりにキャラを立てているつもりだ。(優等生のつもり)
「ふん、まあいい。」
…何でいちいち偉そうなんだろう。
「放課後、音楽室に来い。」
「え…嫌です。」
ザワッ…。
何故かクラスがどよめいた。
そんなに意外なことを言ったつもりはないのだが…。
というか、何故クラスの人が聞き耳を立てて…。
まぁ、キノコが話していれば耳を傾けるのが当然という気がしなくもないが。
「…何か用事でもあるのか?」
キノコさんが少し眉をしかめて不機嫌そうにたずねる。
「ええ…。まあ…。」
帰ったら夏コミに向けて同人誌を書かなければならない。