Story
□執事VS王子様・・!?
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執事VS王子様・・!?〜@―T〜
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「ねぇ、クロード…最近、随分と、楽しそうだよ…ね。。?」
―ここは、フィリップ王国の、お城の中。。
ウィル王子様と、正執事で有る、私、クロードと、
2人で、職務室に篭って、公務をこなし、書類に目を通しておられたウィル様の、
ふとした一言に、私は、驚き、何とお返事を返したら良い物か。。と、
直ぐには、返事を返せずに、いる、と。。
「その理由は…“誰か”が、お城に、来てから、だよ…ね。。?」
と、嘘を付く事を、決して許さない、
そして、どんな小さな嘘でさえも、
その、ウィル様の、透き通ったアイスブルーの瞳に映ると、
誰も、何も、答えられなくなってしまうかの様な、
鋭い瞳に、じっと、見つめられてしまっていたのです。。
「そ、その…“誰か”、と、申しますと。。?」
…何とか、やっとの想いで口を開くも、
先程迄、射る様にこちらをキッと強い眼差しで見ておられたウィル様は、
ふいに、ふっと、お背中を、私と反対の、窓の方へと、
座られている椅子ごと、くるりと反転させて、
表情を隠したままの、冷たい、低い声で、こう、続けられました。。
「…そう、無自覚…ね。。」
…正直、先程からのウィル様のお言葉が。。
その、“誰か”とは、一体、誰の事を指しているのか…
私は、分かる様でいて、でも、何処か、分かりたく無い様な気持ちで、
何とか、必死に、誤解を解こうと、口を開きます。。
「あ…あの、ウィル様。。その、りる様との事でしたら、
私は、本当に、何も。。」
…相変わらず、こちらに目もくれず、書類に目を通し、
背中越しで、、表情を隠したままの、ウィル様は…
「ふぅ〜ん、そう…何も、ね。。」
と、気の無い様な、素振りを見せて、おられるのですが。。
…と…っ、兎に角っ、早くウィル様の誤解を解かないと、
後々、大変な事に…っ!
焦る私の様子を、知ってか、知らず、か。。
やっと、こちらを振り向いたウィル様は、
青い瞳を、全く開かず、にっこりとした、満面の笑顔を浮かべられていて…
「…ねぇ、でも、クロード。。りるは、最近、何だかクロードに懐いているみたいだけど。。?」
と、申されましてもですね…っ!
「そ、それは、そのっ、お優しいりる様が、こちらのフィリップ城にお住まいになられてから、
大分、日にちも経ってきた事ですし…ですから、その。。」
ついつい、“心を許して下さった”…と、言いかけてしまい、
喉から出かかった言葉を、慌てて、押さえる物の、その言葉でさえも、
まるで、ウィル様には、お見通し、とでも、言わんばかりに、
「ふぅ〜ん、お優しい、りる様、ねぇ。。」
と、何故か、その、先程の私の会話の、一部分だけが、どうも、気になるご様子で。。
「あっ、いえ、その…っ、ですからっ、私如きの一介の唯の執事にも、優しく接して下さる、
素晴らしく優しいお心をお持ちになったりる様、と、言う意味でして…」
そう、しどろもどろになりながら話す私の言葉にも、
何だか、もう、興味が無くなったのか、
普段の、『ふぅ〜ん…』と言う、相槌さえも打たなくなってしまったウィル様のお姿に、
何だか、私は、居た堪れない気持ちになってしまい…
「あ…っ、ウィル様、その、お飲み物を…先程の紅茶も冷めてしまったかと存じますので、
新しいお飲み物を、直ぐに、御持ち致します…っ!」
と、だけ言うと、サッと頭を深く下げ、一礼をし、
何とも、雰囲気も、そして、居心地も悪くなってしまったウィル様の職務室から、
逃げる様にと、足早に離れ、廊下を急ぎ足で歩くので、ございました。。