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□此処ではない、何処かへと…
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此処ではない、何処かへと…
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此処ではない、何処かへと…人間(ひと)は憧れ、想いを馳せる。
でもそれはきっと、此処が自分の居場所だと、そう確信するその為に、
遠い何処かへ旅立つのだと、俺はそう想う。
…だからさ、なぁ、ユウ…ユウの居場所は、此処だよな…?
此処が…このオリエンス城がユウの居場所だってそう確信するその為に、
今だけは少し、遠い場所へと…ばぁちゃんの所に行っただけ何だよな?
ユウの帰って来る場所は、俺とアリアと、アランの居る、この場所だよな。
あ、アレだよ、その…ユウが居ないと、アランがさ、
遊び相手が居ないって淋しがったり何かして、さ…
…いや、もう、俺は…ユウの時でもアリアの時でも、何かとアランの名前を出し過ぎだよな…
アランでは無くって、俺が…さ、
ユウが居ないと、今の新しい執事のやる事成す事、もしもユウだったら…って、考え過ぎちまうんだよな。
公務の時も、食事の用意も、本の僅かな出来事でさえも、何時もユウと比べちまうんだ…
でも、だけど、この城を出て行った、ユウの気持ちは、俺には痛い位に良く分かるから。
…だって、俺はさ、ユウに『出て行け』って以前(まえ)に云ったもんな…
アリアがユウの事を好きだと勝手に勘違いをしていたあの日に俺は、
想い合うそんな2人の様子を見ていたく無くって、
『それなら2人で城を出て、勝手に暮らせば良いだろう』ってそう云った。
…それなのに、今、俺の側にはアリアが居てくれて、その上、ユウも…だ何て、身勝手過ぎるよな…
なぁ、ユウ、それでもさ、俺は…もしも願いが1つだけ叶えられると云うならば、
何も知らずに、難しい事何て一切考えもしなかった、無邪気だったあの頃みたいに、
唯、3人一緒に、微笑(わら)っていたい、だけ何だ…
XxReturn HerexX