StoryU
□Promise
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Promise
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…幼いあの日のあの瞬間に、2人交わした“約束”を、あなたは今も憶えていてくれますか…?
小さい頃に、絵本で読んで、憧れていた、
“王子様”と“お姫様”との、2人の恋の物語…
でもね、今、私の瞳の前にいるのは、言葉遣いは悪くって、ぶっきらぼうな態度のそんな“王子様”
だけどね、それでも…
『うわ…っ、な、泣くなよ…っ!俺がドレスヴァンまで連れて行ってやるから…!』
そう言って、小さな身体に大きな態度の“王子様”は、私の手をぎゅっと握って、
迷子になって1人ぽっちで泣いていた、そんな幼い私を、パパとママの所まで一緒に連れて行ってくれてね…
その手はすっごくあったかくって、口は悪くてもでも、瞳はすっごく優しくて。
…あなたと繋いだその手の温もりが、私は今でも忘れられないの…
『…ねぇ、レオ、私をね、レオのお姫さまにしてくれる…?』
小さな小指を絡ませ2人、指きりをして、
『約束だよっ!』
と、あなたと交わしたあの“約束”が、いつか叶えられる事をずっと夢みていたんだけどね…
あの日のあの瞬間から、何時しか時は経ち、10年と言う月日が廻って、
“ネルヴァン王国の、レオナルド王子”の姿を、私はいつもね、TVの会見で見ていたりして…
幼い頃の、何処かふてぶてしい態度は其の儘に、だけど何処か意地悪そうに歪む口元にそれから、
一瞬、ふとした瞬間(とき)に見せる、淋しそうな眼差しに、
私は今もね、ずっとそんなあなたに心を奪われたままでいるの…
でもね、そんな私の耳へと聴こえてくるのは、
“レオナルド王子は、色んな女の人と…”とか、
“レオナルド王子とは、1度関係を持っても、2度目は絶対に無い”だとか、
余り良くない噂話ばかりだったりで。
…ねぇ、レオ、全部、嘘だよね…?
もしも、本当だったとしても…レオは、唯、淋しかっただけ何だよね…?
そう、丸で自分に言い聴かせるかの様に、何度も何度も心の中で繰り返し、それでもね、
…あんなにあったかい手をした小さな男の子の心の奥のその優しさを、
私は今でも、ずっと、信じていたいんだぁ…
10年経って、やっと、再び出逢えた、ずっとずっと変わらずに想い続けた、大好きなその人は、
『…そう、でもキミは、ジョシュア王子の事が…』
“好き”だったのかな…?
そう紡がれそうになった言葉を絶対に聴きたくなくって、私はキッパリとした口調でこう遮るの。
『…私、10年間ずっと変わらずに、好きな人がいるんです』
…ねぇ、レオ、気付いて、私の大好きな人は、今、私の瞳の前にいる、あなた何だよ…?
何度逢っても声を掛けてもそれでも、1度も私の事を名前で呼んでくれない、
あの瞬間に一緒に見たお花の事もそれから私の事でさえも、きっと何も憶えていない。
…でもね、それでも…ずっと変わらず大好きな、あなたに気付いて欲しくって…
『それならあの日…どうしてキミは、パーティでドレスを着ていたの?』
レオの少し意地悪な質問に、私は意を決して、レオの瞳をじっと見つめて、こう応えるの。
『…ネルヴァン王国も合同で…レオナルド王子もいらっしゃるって、ジョシュア様から、お聴きして…』
それでも、レオは、TVで見るのと一緒の偽りの微笑(え)みを軽く浮かべて、
全く気の無い素振りをしたりして。
『今だって…ずっと、今までだって…ネルヴァン王国とのイベントの時は、こうして…』
…ねぇ、レオ、ダメなの…?レオの記憶の中には私はずっと居ないままだったのかな…?
でもね、その瞬間、私の耳へと響いて来たのは意外なレオの一言で。
『そんなに云うなら…ネルヴァンを…案内しようか?』
レオのその優しい言葉に、私は小指を立てて、こう言うの。
『レオナルド王子…約束ですよっ?』
2人で交わす、新しい“約束”が…叶えられたその日に私は、
ネルヴァン城のお庭に小さく咲いている、黄色と白のふわふわとしたお花を見付けて、
『レオナルド王子…このお花の事…憶えていないですか…?』
と、そう、大好きな人へと問い掛けてもね、
『いや…憶えてるも何も…今、初めて見たけど?』
そう返って来たレオの言葉に、私は、
『そう…ですよね…』
と、小さくポツリと消え入るかの様な小さな声で呟く事しか出来なくて。
…そっか、もう、ダメ何だな…レオにとっての私は、ずっと居なかったままになってるんだ…
溢れ出しそうになってしまう冷たい雫を必死で堪えて、
そんな私を、レオが連れて行ってくれた、その場所は…
ネルヴァン城のお城の中でも1番高い、その場所で。
2人他愛無い会話を交わしてそれから、レオがポツリと呟いたその一言に、
“レオナルド王子には…見えませんか?こんなにキレイな、澄んだ、青空が…”
…あなたがずっと見ていた景色はこんなにキレイで、そして素晴らしい世界何だよ…?
あの日の空は雲1つ無い青空だったけれどね、天気予報通りの雨が…
レオの頬へと零れた暖かいその雫を私は、何も見ていないからね…?
そう、次の日に、レオへと紡いだ言葉は途中で遮られ、何故か、私は今、レオの腕の中に、いて…
『え…っ、な、何、何…っ?』
頭の中がぐるぐると廻って、訳が分からなくなってしまった私は想わず、
何時もの敬語も忘れてレオへと会話を続けてしまって。
そしたらね、レオが…愛しいその人が、私の名前を呼んでくれて、それから…
『…約束、果たそうかと想ってね…』
そう言ってスッと立てられたレオの永くてキレイな小指に、
幼いあの頃のままの優しくって穏やかな、満面の微笑(え)みを私に向けてくれていて…
『ねぇ、レオ、本当に…?』
私が今あなたに伝えたい言葉は、
“本当に、私の事を想い出してくれたの?”と、それから、
“本当に、あの日交わした約束を叶えてくれるの…?”
と、2つの想いがぐるぐると廻っていたりして。
『ねぇ、レオ、あのね、私、ずっと、レオの事…』
…離れて過ごしていてもそれでも、
ずっと変わらずに想い続けた10年分のその想いを、大好きな人に伝えたくって…
でもね、そんな私の言葉は、
レオの10年前と何も変わらないままのあったかい掌で頬を撫でられて、ゆっくりと遮られてね。
『…また、お前は…リナはそうやって…男の俺から云う物だって、前にも云っただろう…?』
…レオは、本当に、全部、想い出してくれたんだ…
今度はふわりと、レオの優しい両手で頬を包まれて、私の耳へと優しく響いてきたのは…
『リナ…好きだよ、愛してる…』
…それは私がずっとずっとレオに伝えたくって、
それからレオも一緒の気持ちでいてくれたらと、夢にまで見たその言葉…
『…約束…リナ、俺の世界でたった1人のプリンセスになってくれますか…?』
そんな、“王子様からのプロポーズ”
…幼いあの日のあの瞬間に、2人交わしたあの“約束”を、あなたは叶えてくれるのですね…
**Love Wish**