Don't think, feel !
□16話
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玄関でお気に入りのスニーカーを履きながら私は視線を感じていた。
ねっとりじっとりこちらを見定めるような視線。
ここで振り返りいつものように突っ込んだりなどとしたらきっと面倒くさいことになる。断言できる。
「いってきまぁすっ!」
私は振り返ることなく立ち上がると玄関のドアノブを即座に掴み勢いよく外に出ようとした。
ヤバイ、今の私生まれてきてから一番スタイリッシュだった。
それなのにそのスタイリッシュさをものともしない速さを持つ人が居るんですよこの家には。
外に出る私の肩をこれまた勢いよく掴み玄関の方へ引き寄せた。
あ〜〜もう!!石田さんなんなんですか…って、あれ?
「竹中さん…?」
そう名前を言うとニコッと笑う竹中さんは未だに私の肩を掴んでいた。地味に痛い。
てっきり石田さんだと思っていたのにあの視線やらの正体は実は竹中さんであった。
「な…何かご用が?」
「あるよ。君、何故一人で外に出ようとしたんだい?」
「それは、まぁ、なんていうか」
武将を連れて買い物に行くのが面倒だったから☆
なんて言えるわけもなく。つまり竹中さんも外に出たいということなんですね?
「一緒に行きますか?」
「あぁ!勿論だとも!」
待ってましたと言わんばかりのテンションの上がりよう。うん。ちょっと可愛い、かもね。
「石田さんも行きたい…とか思ってますかね」
「それはないね」
「?何でそんなに断言できるんですか」
「見たら分かるよ」
最初に竹中さんのために買った靴を履き、目だけで居間の方を見るので私も習って居間を除きこんだ。居間にはソファーに座る大谷さんと床に座り大谷さんの膝の上に手をのせ話しかける石田さんが。
「刑部、体調は悪くないか?此方の世界は空気が汚い」
「あまり心配せずともわれは大丈夫よ」
「そうか…何かあればすぐに言え。貴様の言うことに間違いはない」
「ぬしは相も変わらずよな。鈴と供に出掛けなくてよいのか?」
「彼奴は大丈夫だ。半兵衛様がついている。それより私は一時も多く、貴様と供に居たい」
「ヒヒッ酔狂なところも相変わらずよ…」
パタン…と小さく扉を閉め玄関に行く。
玄関では竹中さんが準備万端で待っていた。
「分かったかい?」
「よく分かりました」
あの2人のバックには少女漫画張りにお花が咲き乱れていた。
あの世界を壊すものはきっと勇者通り越す。
なんていうか…ごちになりました。
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