Don't think, feel !
□12話
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「ああああああああああああ!!!!!やっぱり私は馬鹿だった!!!!」
「うん。知ってるよ。」
「そんなこと言わないでよ綾!!!」
教室の机をドンッと叩いて抗議するも綾は素知らぬふり。畜生この前の可愛い綾はどこへいったの。
講習最終日
「今日でこのダルい講習も終わるんだと私は浮き足立ってた…つもりはない!いつも通り朝早く起きてご飯食べて学校に来たはずだ!なのに!何故!どうして!」
「あーうるさい」
のっけからうるさくてすみません。何故私がこんなに取り乱しているのか。それを知るには少しばかり時間を遡ります。
AM7:00
「いやー早朝の散歩って穏やかで結構楽しいものですね石田さん」
朝早く起きた私はそんな私よりも早く起きている石田さんと散歩をしていた。この時間帯はそれほど暑くないし人もいないしでなかなか良いものだ。少しテンションが上がった私を一瞥して石田さんは「あぁ。」といつものように無愛想に返事をした。
「それにしても、石田さんが私を散歩に誘うなんて思ってもいませんでしたよ。」
そうなのだ。私を散歩に誘ったのは他でもない、今隣に歩いている無愛想人間…もとい、石田三成さんだった。
誘われたときは一体何の心境の変化かとびっくりしたが、せっかく誘ってくれたんだからと快く引き受けたというわけだ。
竹中さんにも声をかけたのだが、体調が優れないからと優しく断られた。竹中さん大丈夫かなぁ…。
「それは…貴様が…」
「え?」
木漏れ日が道を照らす綺麗な人工的に整備された通りを2人で歩いていく。石田さんは言いづらそうに言葉を濁した。何故彼がそんな態度をとるのか私にはさっぱり分からない。
それもそのはず、石田は深夜に泣いていた鈴がやはり気になって散歩に誘ったのだが、当の本人はそんなこと夢にも思っていなかった。
「ただの気まぐれだ…。」
「そうですか。」
石田は結局こう言うしかない自分に自己嫌悪した。もっとそれなりの理由を考えるべきだったか…とも思ったが、何故そこまでしなければならない。というより、何故自分はここまで鈴に気をつかっているのか…あぁらしくない。
「石田さん、赤信号できちんと止まっていますか?」
唐突に私は石田さんへ会話を投げ掛ける。まぁただの雑談だ。散歩中ずっとだんまりはさすがにね…ハハ
「止まっている。私を馬鹿にしているのか」
「んなことないですよ。確認ですから。ちなみに石田さんはどれくらいの範囲の道を覚えましたか?」
「貴様の…学校とやらまでなら容易く行ける。」
「嘘」
「誠だ」
この人の記憶力を侮っていた。普通無理でしょ。だって石田さんまだ外に出た回数数えられるくらいだよ!?あり得ない!その記憶力くれ!!!
「なんか色々負けた気がする…」
「(無視)」
「(普通にシカトされた…!)」
あれだ。今回の散歩で分かったことは、意外と会話が続くってこととやっぱり石田さん人間じゃないってことだ。
***
散歩も終わり、マンションに帰ると部屋の前に竹中さんが立っていた。
「竹中さんただいまー」
「おかえりなさい。鈴くん、三成くん。」
「ただいま戻りました半兵衛様!!」
「ちょぉい!扉の前で膝まづかないでください!」
こういうとき武将駄目だ!いや、敬意を払うのは良いことだけども!!
「そ、それより竹中さんどうして外に?体は大丈夫ですか?」
「あぁ、なんだか雲行きが怪しくなってきたから少し気になってね。体調はもう心配いらないよ。ありがとう。」
「そうですか。良かったぁ。確かに今日は雨模様ですね…。傘忘れずに持っていかなきゃ。」
扉を開けて中へと入る。玄関の端になんてことないビニール傘を出しておく。これできっと忘れないだろう。
「これが…傘、なのか」
わなわなと震える手で3つある傘の1つを取り、私に目線を送る石田さん。なんか久しぶりだなぁこの反応。
「そうですよ。ここをギュッと押しながらこうバッと開くんです。ほら、傘になった」
「説明が見事に擬音だらけだね。」
「そこは言わないでください」
「私達が知っている傘と似ているようで違うな。」
「そりゃ、ビニール製ですからねぇ。使い方は一緒ですよ。今日は雨なんで傘を忘れないようにしないと…傘傘傘傘傘傘傘…」
居間に行っても忘れないようにずっとカサカサ言ってる私。ゴキブリか。案の定そのあと石田さんに黙れと言われた。
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