Don't think, feel !
□11話
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この小説の内容について簡単に説明すると、主人公は平凡な少年で、ある日少年のもとに異世界からきたというちょっと感覚がずれた金髪美少女が現れる。そして悪戦苦闘しながらも2人は仲良く一緒に暮らしていく。でもその楽しい時間も長くは続かなかった。少女がもとの世界へ帰ってしまうという。そして少女は少年も、もとの世界へ連れて行こうとし、少年は悩み…
そして白紙。もう一度言う。ふざけんな。
「いや、とりあえず白紙とかそんなんどうでもいい…」
この内容、モロ今の私じゃん。異世界の人と暮らすって。
偶然か…?
偶然じゃないとしても、もしかしたらこの小説、石田さん達がもとの世界に帰る手がかりになるかも…!
そうとなれば即行動。部屋にあるパソコンを開いてネットでこの小説を調べる。
題名とかは分からないから内容から…検索に引っ掛からないかなぁ。
パチパチとキーボードを打つ音が部屋に響く。
お願いだからちょっとでも手がかりが見つかって欲しい。もはや藁にもすがる想いだ。
「ないぃ…」
何がないって、検索件数だよ。全くもって情報が得られなかった。
少しだけ希望の光が見えたと思ったのに…世の中そう甘くはないんだね。椅子にもたれ掛かり、項垂れる。暗闇で画面を凝視していたので目が疲れた。
時計を見ると、既に時刻は3時を過ぎていた。ヤバいヤバい明日も講習があるんだ。早く寝ないと。
急いでベッドに再び潜り込み、目を瞑る。
不意に、昔のことを思い出した。
まだ私が小学校低学年の頃。私は暗いところが大嫌いな臆病な子どもだった。今でもあまり暗いところは得意ではない。そんな私にお母さんは私が寝るまで頭を撫でて傍にいてくれていた。お父さんもお母さんも仕事でこの上なく忙しかったけど、家に帰って来れる日は必ず私と一緒に寝てくれていた。
私が成長するに連れ2人の仕事はもっと忙しくなり、ついに今年から海外で働くことに。誰もいない家は、私独りには広すぎて。
少し寂しいって思った
おかしいな。私は一人でいることが好きで、一人暮らしを絶賛満喫中だったはずなのに。
石田さん達のせいだ。あの人達が来て、同じ家で共に暮らすようになったから人のぬくもりの心地よさを思い出してしまったのだ。
「・・・寝よう」
そんなこと考えて何になる。面倒くさい。
両親に送った手紙では悪態ついたけど、2人が必死に仕事を頑張っているのは分かってる。
少し熱くなった目頭を押さえながら眠りに落ちていった。
寝ている間、誰かに頭を撫でられている気がしたけど、きっと気のせいだ。
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