Don't think, feel !
□9話
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「私は…城からこっそり抜け出してきたの」
はぁ。城ですか。私の夢の時代設定はどうなっているんだろうか。
そうなるとこの子はお姫様的な?うん。頷ける。おしとやかそうだし。眼帯してるけど。
「へぇー。抜け出してきたのバレたら怒られるんじゃない?」
私の言葉にビクリと反応する。どうやら図星のようですな
「でも、誰も城から私を出してくれないの。外は危険がいっぱいだからって」
シュン…となって悲しそうに話す彼女。ちょっと可愛すぎるんじゃないかしら。私が男であればこんな箱入り娘…ってか姫と誰もいない夜の海で会ったら犯罪に手を染めてもおかしくない
夢であることがおしい。
「じゃあさ、もうちょっと私と遊んでようよ。海は好き?」
彼女の手を取って顔を伺う。
おっ?さっきまで暗いオーラを出していたのに、今は少し笑顔だ
「はい!!海は大好きです!!」
ニコォと笑い、生まれてから箸以上の重い物をもったことがありません!という感じの綺麗な白い手で私の手をギュッと握りしめる。
はいノックアウトー
その後は2人でパシャパシャと海の水を掛け合ったりしてはしゃいでいた。楽しいなぁ。お姫様の笑顔が非常に眩しいわ。
遊んで少し疲れた私達は砂浜に座ってお喋りをした。着物が汚れるのでは?と思ったけど、そこはね、ほら、夢だから。細かいとこはスルーよスルー。
「今日はね、私の城に毛利元就様が遊びに来てくださって、色んな話をしたんですよ」
「毛利元就…なんか聞いたことある名前だね」
「それはそうよ。だって元就様は毛利家の党首様ですもの」
毛利元就毛利元就毛利元就…あぁ!!
「あの3本の矢の話の人だ!!ってかうえぇ!?毛利元就遊びにきたの!?凄いな!!」
「?」
私の驚きっぷりに疑問を抱いてるようだが、それもまたスルー。
いやー自分の夢ながらおかしな夢だわ
「ねぇ、そういえば貴女の名はなんというの?」
「私?鈴だよ」
「鈴さん。今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
座りながらペコリと頭を下げる。礼儀正しい。
「いやいや、私も凄い楽しかったよーありがとね。あと私のことは鈴でいいよ」
「では、鈴。もう私は城に帰らないと」
立ち上がり、名残惜しそうに言う。あらら…楽しい時間ってのはホント、あっという間だね
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